中国地方の都市部で小規模な住宅団地の開発が相次ぎ、売れ行きも好調だ。社宅跡地などを造成するケースが多く、抽選倍率が8倍に上る人気物件も登場。交通や買い物の利便の良い立地を求める「都心回帰」の需要を取り込んでいる。
広島電鉄(広島市中区)は、広島市南区宇品御幸の日本たばこ産業(JT)社宅跡地で63区画の一戸建ての団地を開発した。敷地内の道路整備など造成工事が進んでいる。
10月に売り出した第1期18区画は即日完売し、抽選倍率が最高で8倍となった。11月に販売した第2期24区画も最高で4倍となり、既に19区画に申し込みが入っている。
価格は土地と住宅で1区画5千万〜6千万円台と、郊外の住宅団地より高め。購入者の年代は20〜50歳代と幅広く、共働きの夫婦も目立つ。市外から職場近くへの転居を望む人もいるという。
同社不動産カンパニー販売チームの瀬崎敏正リーダーは「高額物件でこれほどの売れ行きはあまり記憶にない。都心回帰の需要にマッチした」と話す。
同じ宇品地区のカルビー工場跡地で、三井不動産レジデンシャル中国支店(中区)が開発する42区画の住宅団地も販売が好調だ。11月に販売を始めた第1期14区画のうち10区画で契約前の登録があり、倍率5倍の抽選登録になる区画も出た。
同支店事業室の斉藤健主管は「まだ積極的に告知していないが、希少性が高いせいか予想以上に問い合わせがある」と語る。
宇品地区ではこのほか、セキスイハイム中四国(岡山市北区)が用地を取得し、25〜30戸規模の住宅団地の開発準備を進めている。
ミサワホーム中国(同)は岡山市南区で企業の社宅跡地を造成し、8月に9区画を販売した。11月には完売する人気だった。
【写真説明】広島電鉄がJT社宅跡地に造成中の住宅団地(広島市南区)
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