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高浜プルサーマル発電:10年越しの始動/2 MOX処理どうする? /福井

 ◇「保管問題」議論されず

 高浜原発のプルサーマル発電で使った後のMOX燃料の処理方法をどうするか---99年にプルサーマル発電がストップした後も、未解決のまま残っている問題だ。関西電力は「当分は高浜原発内で適正に管理する」としている。よそに中間貯蔵施設があるわけでもなく、相当長い期間に渡って高浜原発サイト内にある可能性が高い。

 国の核燃料サイクルは、MOX燃料を作る前段階の、使用済みウラン燃料を再処理する過程で既に停滞している。青森県六ケ所村に建設中の再処理工場は今年10月、18回目の延期で「2012年完成」とされた。使用済みMOX燃料を処理する第二再処理工場については、原子力大綱の中で「2010年をめどに検討を開始する」としているが、暮れが押し迫っても資源エネルギー庁は「まだ検討の準備段階」という。

 京都大原子炉実験所の元講師、小林圭二さん(71)は、「使用済みMOX燃料の再処理は、技術的にウラン燃料以上に難しい。再処理をしても、燃えないプルトニウムの割合が高くなるため、高速増殖炉のブランケット燃料ぐらいしか使い道がない」と指摘する。

 高浜町の野瀬豊町長(50)は、使用済みMOX燃料の一時的な保管は容認するものの、国には早急な対策を望んでいる。長期保管については「なし崩しにされる危険もあり、そうなれば事実上の中間貯蔵。将来は使用済み核燃料税の課税など、何らかの手当ては住民の理解を得る上でも必要」と、私見を示した。

 原発に近い同町音海集落で民宿を営む元町議、児玉巧さん(63)は、99年にプルサーマル発電に同意する前の町議会について「MOX燃料を装荷して運転することが危険かどうかが議論の中心だった。使用済み燃料の長期保管問題は議論されていなかった」という。

 使用済み燃料の行き場がないことを知った今は「危険な物質をいつまでも置かれるのは困る」と思っている。住民の心配する声はまだ大きくないが、「『青森に出て行くんだろう』と漠然と考えて誤解をしているのでは」とつぶやいた。

毎日新聞 2010年12月19日 地方版

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