産経新聞が伝えたところによれば、中国政府は日本の防衛大綱の決定に対して、「個別の国家が国際社会の代表を気取って、無責任に、中国の発展に対して四の五の言う権利はない」という談話を発表し、「中国は平和的な発展の道を歩み続け、防御性の国防政策を実施している。誰の脅威にもなるつもりはない」と嘯いた。

これは台湾政府が2007年に発表した中華民國九十五年國防報告書に掲載された、中国の軍事力の投射計画を示したものだ(2010年発表の中華民國九十八年國防報告書には存在しない)。ここには日本の生命線とも言えるシーレーンを切断する中国の意図が明確に示されており、2020年には日本を飛び越えて遙か東経165度まで軍事力を投射しようとしていることが分かる。圧倒的な軍事力を背景に東アジアに影響力を発揮しようという中国の野心が見て取れる。これを脅威と言わず、なんと呼べというのだろうか?
シーレーンは文字通り日本にとっての生命線だ。エネルギーは石油99.8%、石炭98.4%、天然ガス96.6%、ウラン100%を輸入に頼っている。輸出に目を向ければ、ハイテク工業品だけで2000万トン、第1次産品を含めると7000万トンがシーレーンを経由して運ばれる。万が一シーレーンを中国に封鎖されることになると、日本は短期間のうちに自滅してしまうだろう。
平成22年版 防衛白書によれば、中国は自国の権益確保を名目として、より遠方の海域における作戦遂行能力の増強に努めている。キロ級潜水艦のロシアからの導入、新型国際潜水艦の積極的な建造等により潜水艦戦力の増強を進めるとともに、艦隊防空能力や対艦ミサイル能力の高い水上戦闘艦艇の投入を行っている。揚陸艦や補給艦の増強に加えて、2008年10月には大型の病院船の就役も確認されている。
さらに、中国国家海洋局がまとめた2010年の中国海洋発展報告には国産空母の建造計画が明らかにされている。朝日新聞の報道によれば、空母取得の位置づけは次のとおりだ。
さらに驚くべきことに、この旧ソ連のスクラップ空母に関して、中国は練習空母として再就役させる意向であり、現在現在遼寧省大連で改修工事が進行中、2012年には就役予定であるという。艦載機としてはSu-33Kが予定されているようだ。続けて2014年には通常推進型の5万〜6万トン級の国産空母一番艦が就役予定。2020年には原子力推進型を含めて5つ程度の空母戦闘群の配備が完了すると見られる。
産経新聞が伝えた米国防総省のシンクタンクINSSの中国の域外海軍作戦に関する報告によれば、中国海軍は遠隔地での作戦能力を高める手段として航空母艦の攻撃艦隊と空母航空力を位置付けており、中国首脳は、「空母能力は遠洋に出て、南シナ海の領有権やインド洋の海上輸送路の防衛のような任務への空軍力保持ために明白な戦略上、作戦上の必要性の根拠がある」と信じているようだ。
このような圧倒的な海上戦力が日本との東シナ海における領有権紛争(尖閣諸島、海中油田等)における威圧、シーレーンへの攻撃能力の整備を意図していることは明白で、日本のみならずアジア地域の安定において大きな潜在的脅威であることは間違いない。
次の図は平成22年版 防衛白書に掲載された日本近海における最近の中国の活動を示したものだ。中国海軍の太平洋への進出も確認されており、2008年10月にはソブレメンヌイ級駆逐艦など4隻の艦艇があの狭い津軽海峡を悠々と通過、太平洋を南下して日本を周回した。同年11月には、ルージョウ級駆逐艦など4隻の艦艇が沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出する航行を行った。同様の進出は2009年6月、2010年3月、4月にも行われており、監視中の海自護衛艦への中国艦載ヘリコプターの接近などの事案が報告されている。

2004年11月には、中国の原子力潜水艦が日本領海内での潜没航行を行い、2005年9月には東シナ海の樫ガス田付近における艦艇の航行が確認されている。2006年10月には、沖縄近海において中国のソン級潜水艦が米空母キティホークの近傍に浮上するなどの示威行為を行ったと伝えられている。2008年12月以降、尖閣諸島近傍における中国の海洋調査船の活動は活発化しており、中国漁船の拿捕はそんな中での出来事であった。
中国が空母戦力を含む強大な軍事力を整備しつつあることは確かだ。それに対して日本はどのように対抗すべきか。中国に対抗出来るだけの軍事力を整備することは昨今の厳しい財政事情では非現実的であり、望むと望まざるとに関わらず、米国と協調して中国に当たらなければならない。中国を相手に長大なシーレーンの安全を確保することは非常に困難であり、中国がそのような愚挙にでることが無いような環境づくりを周辺国と共に形成していくことが必要に違いない。
これは台湾政府が2007年に発表した中華民國九十五年國防報告書に掲載された、中国の軍事力の投射計画を示したものだ(2010年発表の中華民國九十八年國防報告書には存在しない)。ここには日本の生命線とも言えるシーレーンを切断する中国の意図が明確に示されており、2020年には日本を飛び越えて遙か東経165度まで軍事力を投射しようとしていることが分かる。圧倒的な軍事力を背景に東アジアに影響力を発揮しようという中国の野心が見て取れる。これを脅威と言わず、なんと呼べというのだろうか?
シーレーンは文字通り日本にとっての生命線だ。エネルギーは石油99.8%、石炭98.4%、天然ガス96.6%、ウラン100%を輸入に頼っている。輸出に目を向ければ、ハイテク工業品だけで2000万トン、第1次産品を含めると7000万トンがシーレーンを経由して運ばれる。万が一シーレーンを中国に封鎖されることになると、日本は短期間のうちに自滅してしまうだろう。
平成22年版 防衛白書によれば、中国は自国の権益確保を名目として、より遠方の海域における作戦遂行能力の増強に努めている。キロ級潜水艦のロシアからの導入、新型国際潜水艦の積極的な建造等により潜水艦戦力の増強を進めるとともに、艦隊防空能力や対艦ミサイル能力の高い水上戦闘艦艇の投入を行っている。揚陸艦や補給艦の増強に加えて、2008年10月には大型の病院船の就役も確認されている。
さらに、中国国家海洋局がまとめた2010年の中国海洋発展報告には国産空母の建造計画が明らかにされている。朝日新聞の報道によれば、空母取得の位置づけは次のとおりだ。
海洋発展報告は、国家海洋局の研究機関、海洋発展戦略研究所が編集したもので、中国の管轄海域の拡大と海洋権益の保護を強化する戦略が打ち出されている。その中で中国軍は「09年に空母建造の構想と計画を打ち出した」とした上で、「本格的に海洋強国の建設に向けて乗り出したことを示している」と位置づけた。1998年、中国は旧ソ連で未完成のまま廃棄されたクズネツォフ級空母ヴァリャーグ(Варяг)(排水量5万8000トン)をマカオのダミー会社を通し海上カジノにするという名目で購入、海軍技術者によって徹底的な調査を行った。これにより旧ソ連の空母設計技術の多くが中国に流れたものと推測される。
さらに、空母を建造して海洋強国になることは「中華民族の偉大なる復興を成し遂げるのに不可欠である」と記し、20年までに他国からの挑発や脅威に対抗する能力を高め、中レベルの海洋強国の仲間入りを目指すという目標を掲げている。空母保有が、米国などと海洋覇権を争うためだけではなく、ナショナリズムの高揚を図る狙いがあることもうかがえる。
さらに驚くべきことに、この旧ソ連のスクラップ空母に関して、中国は練習空母として再就役させる意向であり、現在現在遼寧省大連で改修工事が進行中、2012年には就役予定であるという。艦載機としてはSu-33Kが予定されているようだ。続けて2014年には通常推進型の5万〜6万トン級の国産空母一番艦が就役予定。2020年には原子力推進型を含めて5つ程度の空母戦闘群の配備が完了すると見られる。
産経新聞が伝えた米国防総省のシンクタンクINSSの中国の域外海軍作戦に関する報告によれば、中国海軍は遠隔地での作戦能力を高める手段として航空母艦の攻撃艦隊と空母航空力を位置付けており、中国首脳は、「空母能力は遠洋に出て、南シナ海の領有権やインド洋の海上輸送路の防衛のような任務への空軍力保持ために明白な戦略上、作戦上の必要性の根拠がある」と信じているようだ。
このような圧倒的な海上戦力が日本との東シナ海における領有権紛争(尖閣諸島、海中油田等)における威圧、シーレーンへの攻撃能力の整備を意図していることは明白で、日本のみならずアジア地域の安定において大きな潜在的脅威であることは間違いない。
次の図は平成22年版 防衛白書に掲載された日本近海における最近の中国の活動を示したものだ。中国海軍の太平洋への進出も確認されており、2008年10月にはソブレメンヌイ級駆逐艦など4隻の艦艇があの狭い津軽海峡を悠々と通過、太平洋を南下して日本を周回した。同年11月には、ルージョウ級駆逐艦など4隻の艦艇が沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出する航行を行った。同様の進出は2009年6月、2010年3月、4月にも行われており、監視中の海自護衛艦への中国艦載ヘリコプターの接近などの事案が報告されている。
2004年11月には、中国の原子力潜水艦が日本領海内での潜没航行を行い、2005年9月には東シナ海の樫ガス田付近における艦艇の航行が確認されている。2006年10月には、沖縄近海において中国のソン級潜水艦が米空母キティホークの近傍に浮上するなどの示威行為を行ったと伝えられている。2008年12月以降、尖閣諸島近傍における中国の海洋調査船の活動は活発化しており、中国漁船の拿捕はそんな中での出来事であった。
中国が空母戦力を含む強大な軍事力を整備しつつあることは確かだ。それに対して日本はどのように対抗すべきか。中国に対抗出来るだけの軍事力を整備することは昨今の厳しい財政事情では非現実的であり、望むと望まざるとに関わらず、米国と協調して中国に当たらなければならない。中国を相手に長大なシーレーンの安全を確保することは非常に困難であり、中国がそのような愚挙にでることが無いような環境づくりを周辺国と共に形成していくことが必要に違いない。
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