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寄付による富の再配分の可能性を考える

逍花

提供:月明飛錫

ポイント:短期的な財源の話とは別に、長期的な視点で考えると、行政が国の富の再配分を効率的に行いうる唯一の組織だという前提を見直し、個人の寄付を社会に組み込むことが望ましいのではないだろうか。

1.フェイスブック創業者の巨額寄付



10日ほど前に、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏(26才)が、資産69億ドル(約5800億円)の過半を慈善団体に寄付することで同意したというニュースがあった。

米フェースブックのザッカーバーグ氏、資産の過半の寄付に同意−WSJ

ザッカーバーグ氏が寄付を同意したのは、著名投資家ウォーレン・バレット氏と、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が6月が立ち上げた慈善キャンペーン「ギビング・プレッジ」。

同キャンペーンには、オラクル創業者のラリー・エリソン氏、映画ディレクターのジョージ・ルーカス氏、ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏など50人を超す企業家が署名している。

アメリカでは昔から、カーネギー、ロックフェラーといった大資産家が積極的に寄付を行っており、現在でも、年間所得10万ドル(約1100万円)以上の人の約9割が寄付を行っている。MoMA(ニューヨーク近代美術館)、アメリカン・バレエ・シアター、メトロポリタン・オペラのような文化、芸術団体も寄付によって支えられている。また高所得者だけでなく、一般の庶民が地元の教会やNPO活動へ多額の寄付をしている。

アメリカの個人の寄付は年間約20兆円、イギリスは1.5兆円であり、これに対して、日本の個人の寄付は年間2000億円と、大きな差がある。

2.日本で寄付が少ない理由



日本とアメリカにおいて寄付の金額に違いがある理由としてよく言われるのは、税制と文化である。

(1)税制

アメリカでは寄付に対して、税金の一部が免除される。その対象は、自治体や学校のほかに科学、芸術など幅広い。それに対して日本では、寄付に対する税金免除の基準が厳しく、税率もまだ高い。寄付として認められるのは、都道府県や市などの地方自治体、学校やごく一部のNPO法人などに限られる。

参考記事:「知られざる優遇税制

日本の税制が寄付に対して厳しい背景には、所得の再分配を公平に行いうるのは「国」である、という確固たる信念があるのだと思う。日本では、戦後財源を国に集中させ、所得の多い人からより多くの税金を集め、それらの資金を、基幹産業、後進地域、社会的弱者などに対して国が一括して配分しており、このシステムはそれなりにうまく機能してきたからだ。

(2)文化

アメリカで寄付が多い2つ目の理由として、キリスト教的な「持てる者が、貧しい者に与えるべきだ」という考え方の影響があげられる。また、富裕層は社会に対して責任を持つべきだ、更に市民として、ほかの市民を助けるのは当然だ、という考え方が根強いといわれる。

アメリカでは、国が全て面倒を見るのではなく、社会の所得再分配システムの中に、個人の寄付が組み込まれている。そのため税制面でも、寄付する人たちに対して、税金を免除することで、寄付しやすいようにしてきたといえる。

しかし日本でも、明治時代から戦前にかけては、皇室、財閥、企業経営者などが積極的な寄付を行っていた。美術品を収集し、芸術家志望の若者のために美術館を作ろうとした松方幸次郎のような人もいる。地方においても、地主が、さまざまな公的な活動を行ってきた。

それが変わったのは、戦後。政府が一括して所得再分配を行うことになり、農地解放で地主の地位は低下し、国民の面倒を見るのは国という意識が広がり、寄付活動は低下していった。

従って、現在の日本で寄付が少ないのは、日本の歴史に根ざした固有の文化というよりも、社会の制度設計が生み出した意識の問題といえるのではないだろうか。
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月明飛錫

逍花

「逍花」は、ぶらぶらと散歩して(=逍)、心を動かしてくれる何か(=花)を探そう! という意味です。
蕾から開花になり、やがて散っていく花は、変化するものの象徴でもあります。
はてなダイアリー「月明飛錫」では、日々見つけた花について書いています。

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