海老蔵自爆でウハウハの人たち

　顔をボコボコにされた上に元暴走族リーダーに手を出したかどうかで大モメの市川海老蔵（３３）。舞台降板に追い込まれたが、その陰でニンマリしているのが代役の歌舞伎役者たちだ。

　海老蔵は１１月末から京都・南座の「顔見世興行」に出演する予定だったが、この代役を務めているのが片岡仁左衛門（６６）と片岡愛之助（３８）。仁左衛門はご存じのとおり紫綬褒章を受けた歌舞伎界の重鎮の一人。

　愛之助は歌舞伎ファンの間では名が通っているものの全国区ではなかった。それが代役に決まったとたん、稽古風景をワイドショーがガンガン報じたため、いまでは「ラブリン」の愛称が一般化するほど知名度が上がった。

「愛之助は大阪のスクリュー工場の息子。家元の出身でない彼が海老蔵の自滅のおかげで有名になった。ボンボンではなく苦労している若手役者の励みになっています」（芸能関係者）

　１月にル・テアトル銀座で代替公演をするのは坂東玉三郎（６０）。１６日にチケットを売り出したところ、わずか３０分で完売したことがニュースになった。女形のトップとしてあらためて存在感を示した格好だ。

　一方、海老蔵事件で男を下げた役者もいる。２月の名古屋・御園座公演で代役を務める中村福助（５０）だ。数少ない海老蔵擁護派で、海老蔵事件の５日後の１１月３０日、自身のブログで「今回、彼が手を出せば確実にやっつけられたと思う」「手を出さずにがまんした彼を評価してあげてください」と露骨なほど海老蔵を持ち上げた。そのおかげか、８日に代役出演が決まったが、これには辛辣な意見が多い。芸能評論家の肥留間正明氏はこう言った。

「福助のコメントは代役欲しさなのでしょうが、歯の浮くようなヨイショには幻滅しました。それに比べて尾上菊五郎（６８）は立派。“歌舞伎俳優の名前は自分のものではなく、ご先祖から受け継いでいるもの”と海老蔵に苦言を呈した。役者の良心を示して男を上げたと思います」

　海老蔵事件は、あちこちで余波が広がっている。

（日刊ゲンダイ2010年12月17日掲載）