射撃訓練:偵察と反撃のため北の天候も重要

厚い雲と霧の影響で週末に訓練できず

「大統領の誕生日を避けた」というデマも

 韓国軍当局が延坪島周辺で射撃訓練を行うと表明したことを受け、当初は週末18日か19日のいずれかに行われる可能性が高いと予想されていた。ところが、この両日に訓練が行われなかったため、その理由についてさまざまな憶測が飛び交っている。19日にはインターネットの掲示板などに、「北朝鮮からの再挑発を恐れた」「中国やロシアから圧力があったのではないか」「大統領の誕生日(19日)を避けた」など、根拠のない書き込みが相次いだ。韓国軍当局は18日から21日のいずれかに、射撃訓練を行うと公式に発表している。

 週末に訓練が実施されなかったことについて軍当局は、「射撃訓練を行うかどうかを決める条件はただ一つ。現場の気象状況だけだ」とコメントした。週末に訓練が行われなかった理由も、西海(黄海)での気象条件が悪化したからで、天候が回復すれば、直ちに訓練を行うという。18日の現地の天候は曇りで風も強く、可視距離はわずか2キロほどだった。19日も濃い霧のため、500メートル先さえ見えなかったという。

 韓国軍当局は延坪島や周辺海域だけでなく、茂島やケモ里など、北朝鮮側の気象条件も考慮する必要がある。射撃訓練の性格上、延坪島からK-9自走法などで射撃を行った後には着弾地点を確認しなければならず、また、北朝鮮軍の動きもしっかりと把握しなければならないからだ。

 北朝鮮が再び挑発してきた際、相手の砲撃地点を正確に攻撃し、その被害状況を把握したいという理由もある。天候を考慮した場合、雲や霧が濃いと、韓米両国軍の偵察機や米国の偵察衛星による北朝鮮側の監視や偵察が難しく、戦闘機による爆撃もやりにくくなるためだ。

 韓国軍による射撃訓練はせいぜい1時間ほどだが、北朝鮮がいつ挑発を仕掛けてくるか予想できないため、延坪部隊による訓練が終わった後も、しばらくの間、北朝鮮の動きを把握できる気象状況でなければならない。先月、延坪島が砲撃を受けた際、延坪島の海兵隊は当日午前10時15分から射撃訓練を開始したが、北朝鮮軍はそれから4時間以上過ぎた午後2時34分に砲撃を加えてきた。

 また、韓国軍が北朝鮮からの砲撃に対応射撃を行った後、北朝鮮軍の被害状況を直ちに確認できなかったのも、当時の気象状況が良くなかったのが大きな原因だ。

 韓国軍関係者は、「天候に関しては最高とまでは行かなくとも、ある程度の条件が整ったと判断すれば、20日にも訓練を実施する。訓練が遅延すればするほど、根拠のないさまざまな憶測が飛び交い、状況はさらに複雑になるからだ」と述べた。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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