【社説】民主党は政権政党だとしても北の脅迫に屈するのか

 20日か21日に西海(黄海)で予定されている韓国軍の射撃訓練について、国内外でさまざまな立場の違いが浮き彫りになっている。韓国政府、与党ハンナラ党、米国、日本などは、「射撃訓練はこれまで韓国軍が行ってきた通常の活動」だとして、「北朝鮮が報復を明言して脅迫するのは筋違い」などと非難している。それに対して野党・民主党や複数の左翼団体、中国、ロシアなどは相次いで射撃訓練の中止を求めてきた。ロシアは韓国時間の20日早朝、国連安全保障理事会の招集を呼び掛けた。

 北朝鮮は現在、韓国軍が予定通り射撃訓練を行った場合、「第2次、3次の予想外の自衛的攻撃を加える」と予告している。このような中、民主労働党をはじめとする左翼団体も射撃訓練の中止を要求したが、これは、彼らの従北的(北朝鮮に従う)な姿勢を改めて明確にした。中国とロシアの反応も予想通りだ。

 問題は民主党だ。民主党は韓国軍が射撃訓練再開計画を発表した16日の時点では、自分たちの立場を明確にしなかったが、17日に、「射撃訓練の時期が果たして適切かについては疑問が残る。しかし、いずれにしても北朝鮮は射撃訓練を挑発の口実にすべきでない」という内容の報道官声明を発表した。ところが18日になると、同党の孫鶴圭(ソン・ハッキュ)代表が、「北朝鮮を懲らしめるためとして、韓半島(朝鮮半島)の平和と国民の生命を賭けに出すような選択はすべきでない。射撃訓練計画は直ちに中断すべきだ」と発言し、19日には同党報道官も孫代表の発言を後押しした。

 民主党に聞きたい。もし今、政権の座に就いていても、同じように主張し、訓練を取りやめるのか。北朝鮮は9カ月前に哨戒艦「天安」を沈没させ、わが軍の将兵46人の命を奪った。また、延坪島に突然の砲撃を加え、兵士だけでなく民間人まで殺傷した。その上今回も、韓国軍の射撃訓練に対して報復を明言するなどして脅迫している。民主党が政権の座にあったら、この脅迫に屈してわが軍の通常訓練を取りやめるのか。民主党は政府に対して訓練の中断を要求するのではなく、「もし現在政権を握っていたら、訓練はやらない」と明言せよ。そうすれば、国民も民主党の考え方を理解し、この政党を支持すべきかどうかを判断しやすくなるだろう。それをしないのなら、民主党は北朝鮮の過ちを直ちに指摘し、「態度を改めないのなら今後も責任を追及し続ける」と強く警告せよ。それが、大韓民国で次の政権を目指す政党の取るべき態度だ。

 政府の政策や対応を一切非難するなというのではない。現在、政府が行っている対北朝鮮政策や軍事的対応には、野党からの厳しい追及があってしかるべき点も多々ある。民主党はそれらを国民の不安や苦痛という観点から、厳しく追及すべきだ。しかし、民主党が政権交代を目指すのであれば、その追及を行う時期をしっかりと見極めなければならない。もし民主党の主張通り、韓国が北朝鮮の脅迫に恐れをなして訓練を取りやめれば、「西海(黄海)5島は北朝鮮の所有」とこちらから認める結果になる。つまり、大韓民国の主権は言葉だけのものとなるのだ。

 今のような非常事態では、政府も国民に対して現状をしっかりと説明しなければならない。韓国軍は北朝鮮からの挑発に万全の体制を敷いているのか。将校から一兵卒に至るまで、しっかりと規律が保たれているのか。訓練の深刻さを認識せず、人ごとのように考える指揮官はいないのか。同盟国との連携はわずかのスキもなくしっかりと機能しているのか。わが国の後方をかく乱する北朝鮮の手口を見極め、訓練を最低限のものとする対策は立ててあるのか。政府は今、大韓民国全体が重大な岐路にあるという現実から、絶対に顔を背けてはならない。

【ニュース特集】北朝鮮砲撃、緊張高まる韓半島

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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