家電大手「三菱電機」の子会社、「三菱電機ロジスティクス」で22年にわたり違法派遣の状態で働き、11月末に解雇された大阪府摂津市の40代女性が毎日新聞の取材に応じ、11月下旬に大阪労働局が「直接雇用するよう」ロジ社に是正指導したにもかかわらず、12月以降出勤を拒否されていることを明らかにした。女性は「是正指導を無視するつもりとしか思えない。解雇を撤回してほしい」と涙ながらに訴えた。【日野行介】
女性によると、女性はロジ社が運営する同府茨木市内の配送センターで長期間、専門業務の名目で派遣されながら実際には一般事務同様の仕事をさせられていた。職場には専用の机もあり、週5日のフルタイム勤務で、正社員と同様の扱いを受けていたという。今年9月、11月末での解雇を通告された。「私の生活はいったいどうなるのか」と配送センターの上司に詰め寄ると、「派遣会社が探すだろう」と突き放されたという。女性は「次の仕事などない。ふざけるなと思った。納得できない」と振り返った。
本紙夕刊でこの問題が取り上げられた11月30日夕方には配送センターの上司が「長い間おつかれさま。ロッカーの鍵と名札を置いて、私物を持ち帰りなさい」と女性に伝えた。是正指導によって解雇は撤回されたと考えた女性はこの命令を拒否。翌日も出勤したが、上司から事務所に入るのを拒まれたという。
大阪労働局は1カ月以内に改善策を報告するようロジ社に求めているが、ロジ社から女性への連絡は一切ないという。毎日新聞の取材に対して、ロジ社は「指導は真摯(しんし)に受け止める。今後の対応は検討する」とコメントしたが、女性は「うそとしか思えない。私は派遣でいいから今後も働き続けたいだけ。労働局は指導を守らせてほしい」と怒りで手を震わせていた。
是正指導は、労働者派遣法違反があった場合の行政指導。違反を繰り返す派遣会社に対しては企業名を公表し、改善命令を出すこともある。しかし派遣先企業に対しては規定がなく、指導を無視した場合も罰則はない。
毎日新聞 2010年12月19日 大阪朝刊