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職員採用試験:和歌山市、民間まかせの見直し検討 不正防止に疑問の声

 ◇99年汚職機に創設

 不正防止のため、職員採用試験に職員を関与させていない和歌山市は、民間によるこれまでの採用方法を見直す検討を始めた。「民間採用方式」の導入は採用を巡る過去の汚職事件を受けたものだが、市は「現行方式は採用辞退者が多く、士気にかかわる」などとしている。しかし、職員が面接している同規模の県庁所在市の中には、辞退者が和歌山市より多いところもあり、専門家からは「因果関係が希薄。腐敗根絶の精神が生かされてない」と疑問視する声が出ている。【藤顕一郎】

 同市は職員採用を巡る疑惑が絶えず、98年には、職員の子供を不正合格させて賄賂を受け取ったとして市長が逮捕された。

 市は99年10月、全員民間人で構成する人事委員会を設置。外部委託で作成した筆記試験の合格者を、人事委員と民間面接官が面接し合否を決める制度にした。同様の方式は奈良市が01~04年度に導入したが、現在は総務省公務員課も「聞いたことがない」としている。

 今年9月、市議会で「合格者の採用辞退が多すぎるのでは」と質問があり、大橋建一市長が「今の形がベストと思っていない」と答弁。消防など専門職採用試験で市職員が関与することを検討することにした。「資質を見極める」「辞退者が相次ぐと士気にかかわる」が主な理由という。

 しかし、現制度と辞退者の増減との因果関係は不明だ。和歌山市の合格者に占める辞退者は、過去5年平均で6%。一方、職員が面接している岐阜市は20%、奈良市9%、長野市8%。「資質を見る目が必要」として、幹部が面接している奈良市は「職員の関与と辞退は無関係」としている。

毎日新聞 2010年12月19日 大阪朝刊

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