東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 今日の読み物(スコープなど)一覧 > 記事

ここから本文

【今日の読み物(スコープなど)】

<スコープ>窮地の首相 見えぬ出口 国会閉幕へ

2010年12月3日 紙面から

 今国会は、多くの法案を積み残したまま三日閉幕する。菅直人首相は精彩を欠き、参院選惨敗からの巻き返しは夢物語に終わった。追い詰められた首相にどんな起死回生の策があるのか。内閣改造や衆院解散、大連立などの臆測が飛び交っているが、どの選択肢もあまりに厳しいのが実情だ。 (高山晶一)

 民主党内で最も「可能性あり」とみられているのが内閣改造だ。

 今国会では、仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議が可決。野党側は、来年一月の通常国会になっても、両氏が出席する国会審議に応じない構えで、首相サイドには「このままだと通常国会は行き詰まる」(官邸筋)との懸念が強い。このため年明けにも、小規模な改造で両氏を交代させた方がいいというわけだ。

 党内では「脱小沢人事」撤回を期待する小沢一郎元代表の勢力だけでなく、菅グループ内にも「目先を変えないといけない」(首相側近)との声が広まっている。

 ただ、民主党幹部は「改造してもねじれは変わらない。公明党が歩み寄る約束ができるわけでもない」と懐疑的だ。特に仙谷氏を交代させると、前原誠司外相ら政権中枢メンバーが反発し「政権が回らなくなる」(官邸筋)恐れも出てくる。

 来年の通常国会で、国会審議がストップした場合、いちかばちか衆院解散・総選挙に打って出るシナリオも取りざたされる。確かに勝てば政権運営に「直近の民意」のお墨付きが得られるが、これも危険な賭けであることには変わりはない。

 むしろ「衆院を解散するから二〇一一年度予算関連法案を通してほしい」と、野党に頼まざるを得なくなる「追い込まれ解散」の可能性の方が高いかもしれない。

 一方、「首相は、政権を安定させるには大連立がいいと考えている」(政府関係者)との見方もある。「自民党を分裂させ、首相と立場が近い財政再建派と組む」との政界再編説さえ取りざたされる。

 もっとも、肝心の野党側が、低支持率にあえぐ菅政権と組む気は今のところなさそうだ。自民党の谷垣禎一総裁は二日の記者会見で「大連立は(衆院小選挙区比例代表並立制という)選挙制度で簡単に取り得るものではない」と否定的な見方を示した。

 打開策がなかなか見つからない状況の中、民主党内では、政権と距離を置く勢力が次々に議員連盟を立ち上げ始めたのも、悩みの種だ。小沢氏に近い輿石東参院議員会長は二日の会見で、首相を突き放すようにこう語った。「課題や反省点は数限りなくある。政権についてこれだけ時間が経過しており、『もうしばらく待って』とは言っていられない」

 

この記事を印刷する





おすすめサイト

ads by adingo