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【今日の読み物(スコープなど)】

<スコープ>首相 巻き返しなるか 調整失敗なら窮地に

2010年12月4日 紙面から

 臨時国会が閉幕したことを受け、政府・与党は、二○一一年度予算編成や社会保障改革をめぐる調整を本格化させる。菅直人首相は、ここで指導力を発揮し、内閣支持率向上につなげたい考えだが、財源不足の中、調整は容易ではない。首相の役割は問われ、失敗すれば、首相のさらなる求心力低下を招くことになる。 (城島建治)

 「この予算がデフレ脱却、成長路線への大きな切り替えとなるよう、一層の奮闘をお願いしたい」。首相は三日、官邸での「予算編成に関する閣僚委員会」でこう求めた。菅政権が初めて取り組む当初予算。首相にはわずかに残された巻き返しの機会だ。

 財源不足で一般歳出を七十一兆円以内に抑える制約がある中、マニフェストや新成長戦略の看板政策をどう実現するかが最大の焦点になる。

 予算編成に向け、首相は各府省の予算を一律に削り、重要政策に重点配分する「元気な日本復活特別枠」を創設。しかし、当初一兆円超だった枠に対し、各府省から約二・九兆円の要望が殺到した。首相が最終的に各事業への配分を決める運びだが、「予算を削られる各府省が、政務三役を使って必死に巻き返しをはかる」(官邸筋)のは必至で、首相は族議員化した民主党議員と対決することになる。

 首相肝いりの社会保障制度と税制の改革も、すんなりまとまりそうにない。政府・与党の検討本部が年内に中間報告を出す方針だが、来年の統一地方選を控え、財源として消費税を明記することに、党内から反対が出ている。

 予算編成に加え、防衛計画大綱(防衛大綱)をどうまとめるかも首相には年末の大きな課題。武器輸出三原則の緩和をめぐり、菅グループも含めて民主党内には異論が出ており、首相は難しい判断を迫られる。

 政府関係者は「菅政権は、今のままでは先が見えない。十二月に政策で勝負をかけ、首相が得意の突破力を示せば、世論を味方につけられる」と期待。政府内には、これらで風向きが変われば、内閣改造などをしなくても通常国会を乗り切れるという観測もある。

 ただ、求心力が低下した首相の発言がどこまで党内に通用するか。先行きは暗い。

 

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