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社説:臨時国会閉会 菅政権、出直しの覚悟を
臨時国会が3日閉会した。約2カ月の会期中、菅政権は多くの難題を抱え、試練の連続だった。しかし、それは政権自らがまいた種、あるいは対処を誤ったことによってこじらせてしまった結果ではなかったか。
2010年度補正予算は成立したものの、郵政改革法案、労働者派遣法改正案、地域主権改革関連3法案など多くの重要法案が成立せずに継続審議となった。中には審議すらできなかった法案もあった。そうした国会の在り方は尋常とは言えない。与野党はともに「国民の負託に応えられる国会であったか」を自ら問い直してもらいたい。
臨時国会の冒頭、菅直人首相は所信表明演説で「政策の国会、熟議の国会にしていくよう努める」と訴えた。党派や立場の違いを超え、徹底的な話し合いによって合意を形成することを目指す決意だった。
ねじれ国会は容易なことでは前に動かない。菅首相は法案ごとに野党の協力を求める「部分連合」を模索する姿勢を示していた。振り返って、それが実現したのはほんのわずか。「有言実行」の金看板が泣こう。
第一に反省すべきは外交だ。沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件、ロシアのメドベージェフ大統領による北方領土訪問への対応はお粗末だった。漁船衝突事件では、中国側の強硬姿勢がエスカレート。中国人船長釈放、証拠映像流出への対応で大揺れとなり、野党からは仙谷由人官房長官らに問責決議が突き付けられた。
さらに、国会軽視発言をした柳田稔氏は法相を辞任。ほかの閣僚も失言や不用意な発言を陳謝する場面が相次いだ。
小沢一郎民主党元代表の国会招致問題はボディーブローのように効いた。小沢氏は衆院政治倫理審査会出席も拒否。対応を任された岡田克也幹事長は事態を打開できないままだ。
こうした問題に多くの時間が費やされた結果、補正予算や経済対策の議論は深まらなかった。共同通信社の緊急電話調査による菅内閣の支持率は先月下旬、とうとう3割を切った。政権に対する失望感の表れだろう。一方、野党の揚げ足取りが目に余る場面もあった。正面から論戦を挑む姿勢を望みたい。
国会は開設から120年を迎えた。会期末、その式典での言動をめぐって与野党が議員の懲罰動議を出し合った。審議そっちのけの泥仕合である。さらに国会で飛び交った口汚いやじの数々。これでは内閣への失望にとどまらず、政治不信が募ることになりかねない。
臨時国会は閉会したが、菅政権に一息ついている間はない。問責決議への対処、11年度予算編成、緊迫する朝鮮半島情勢への的確な対応が迫られる。臨時国会での反省を踏まえて一から出直す覚悟が必要だ。年明けの通常国会で今度こそ「熟議」を実現するための態勢固めを急がなくてはならない。
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