2010年12月6日
八方塞がりの首相
内閣改造で活路開くか
臨時国会を終えて菅首相は元気を取り戻した。オドオドした物腰もしゃっきりし、目元のショボショボも消えた。水を得た魚の如く生き返った感じだ。
それほど臨時国会は辛かったのだろう。国会案件だけではなく、内外で難問が続出し、その対応がまた拙劣を極めた。その一切の非難攻撃が菅首相に集中する。まるで水に落ちた犬同然叩かれっ放し。さながら火ダルマの苦しみを味わった。毎日が地獄の責め苦の繰り返しだった。
しかし、その苦しみに耐え、どうやら逃げ切りに成功した。今ようやくホッと一息ついているところだ。だがそれも束の間でしかない。年が明ければ通常国会が待ち構えている。本格的危機との遭遇だ。しかし、何の妙案もなければ展望もない。
支持率は急降下を続け、危険水域の20%台を低迷している。また衆参ねじれ現象は一向に変わる様子はない。今、国民新党、社民党、与党系無所属を総動員すれば、ねじれから脱却し、衆院3分の2の再議決も可能だ。それより公明党を引っ張り出せば、もっと話が早い。
ところが国民新党は郵政改革法案で裏切られてカンカンだし、社民党は普天間問題で三下り半を叩きつけて去った。公明党にはいろいろ色目を使ったが結局逃げられてしまった。民主党の他党対策はまことに下手くそだ。
ましてや自民党との大連立などユメのまたユメだ。臨時国会でも本格的党首討論や会談は不発で終わった。この分では通常国会も一人旅で行かなくてはならない。ということは来年は今年よりもっと厳しくなるということだ。
来年を待つまでもなく、焦眉の緊急課題が目の前にぶら下がっている。内閣改造と本予算案編成がそれだ。仙谷官房長官と馬淵国交相が前国会で問責決議案を突きつけられ、成立したにもかかわらず、頬かむりを決め込んでいる。このままでは通常国会が乗り切れない。改造は不可避だ。
菅首相に求心力なく、党内は自薦他薦で大騒ぎだ。一方、予算案のメドも立っていない。立てばマニフェストと矛盾するばかりだ。政治主導を振り回す民主党に財務省はそっぽを向いている。
どうも民主党にとっては八方塞がりの成り行きだ。小沢元代表健在なら悪知恵を出すかも知れないが、「政治とカネ」の事件で動きが取れない。逆に党の重荷になっている。
折角戻った菅首相の笑顔もほどなく見られなくなりそうだ。
(I)