菅直人首相は8日、小沢一郎民主党元代表の国会招致問題で、国会閉会中に衆院政治倫理審査会での招致議決に踏み切る意向を固め、岡田克也幹事長に13日の党役員会で意見集約を急ぐよう指示した。議決されても小沢氏は出席を拒むとみられるが、来年の通常国会で野党から協力姿勢を引き出すためにも民主党として政治とカネ問題への取り組み姿勢を示す必要があると判断した。
だが小沢氏支持議員は強く反発。小沢氏に近い党幹部が問責決議を受けた仙谷由人官房長官の辞任を求めるなど、9月の代表選以降、沈静化していた党内対立の激化は必至の情勢だ。
首相は岡田氏と官邸で会談し、通常国会前の政倫審開催に向けた招致議決の方針を了承。その後、記者団に「岡田氏の方で、そういった(議決の)ことも含め、党の中での議論をしていただく」と述べた。仙谷氏も記者会見で「(小沢氏に)政倫審などのしかるべき場所で国民に説明していただくのは重要なことだ」と議決方針を支持した。
岡田氏は意見集約を目指し10日にも緊急役員会を招集したい考えだったが、一部幹部が反対し、13日の定例役員会で提起する。小沢氏に近い参院幹部らは招致議決に異論を唱えるとみられ、岡田氏が首相一任を取り付けられるかが焦点となる。
一方、小沢氏支持の党幹部は「通常国会での野党の抵抗を心配をするなら、まず仙谷氏を代えざるを得ないのではないか」と記者団に述べた。さらに小沢氏支持議員の間では、年内に民主党両院議員総会を開き、内閣支持率低迷や大型地方選連敗での仙谷、岡田両氏らの責任を追及しようとの動きが強まっている。
小沢氏は8日夜、都内で鳩山由紀夫前首相らと会食し、首相の政権運営は行き詰まっているとの認識で一致した。
政倫審は疑惑を受けた本人の申し出か、委員の3分の1の申し立てと過半数の賛成で開催できる。ただ委員議決で開催が決まっても、出席させる強制力はない。
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