陣形立て直さないと菅政権は終わる

「激動の一年だったなぁ…」。いろんな意味で“持ってた”安住氏

　今年も終わりか…と思っていたら、北朝鮮による韓国・延坪島（ヨンピョンド）砲撃事件が起きた。国内では法相が辞任、官房長官らへの問責決議が可決されるなど「内憂外患」の様相だ。安住淳防衛副大臣（４８）は「普天間問題に始まり、普天間問題に終わる。小沢氏問題に始まり、小沢氏問題に終わる」と、一年を総括。内閣人事を含めた「陣形の立て直し」の必要性を訴えた上で、来年は「決断の年になる」と指摘した。

　―北朝鮮の砲撃にはビックリした。

　「いやもう驚いた。北朝鮮は権力の継承期には、いろんなことを仕掛けてくるんだろう。尖閣諸島周辺の中国漁船衝突問題も含めて総括すると、米国の力は今の日本には絶対的に必要だということを、国民も実感したと思う」

　―しかし普天間問題は先が見えないが…。

　「いろいろあったが、普天間問題に始まり普天間問題に終わる、安保で始まり安保で終わる一年だった。反省点としては、与党が問題提起型の政権運営をやってはダメということ。鳩山さんは基地移設への問題提起をしたが、そこは野党癖が抜けなかったのだと思う。こじらせた問題を、菅政権は残念ながらリカバリーするところまで行き着けなかった」

　―来年はできるか。

　「やるしかない。ジェットコースター内閣で、支持率が乱高下した中、数少ない成果の一つは、ＡＰＥＣを契機として、国民に分かりやすく、日米同盟にカジを切った点だ。米国は前政権に比べれば、はるかに信頼感を持ってくれてると思う」

　―国内では閣僚への問責、支持率が下落。柳田氏、仙谷氏の失言は猛批判された。

　「歴代法相も同じ答弁繰り返してるけど、それをそういうもんです、と言ってしまったのは与党慣れしていないし、仙谷さんもディベートとしては面白いんだけど、国会での発言としては、はみ出していたんだと思う。我々が野党の頃に感じていたが、支持率が一度坂道を転がり出すと、野党にすごく勢いをつけちゃう。『熟議の国会』だったか？…評価不能だね。そういう雰囲気を作れなかった」

　―小沢氏の問題は。

　「小沢氏問題で始まり、小沢氏問題で終わる一年ともいえる。味方の背中にこの問題があり、前門には多数の野党。軍事的にいえば、民主党の主力部隊が前後から挟み撃ちにされて袋小路にはまっている。こういう時はいったん退却して陣形を立て直すのが、戦いの定石だ。予算編成、防衛大綱をちゃんとやり、必要なら補強の意味での内閣人事をするべきではないか」

　―来年はどんな年に？

　「安保も財政の問題も決断しないといけない一年になる。最後に決めるのは総理だ。小沢さんの問題しかり、日米同盟が大事という以上、沖縄の問題は誠心誠意やり、ある程度結論をつけないと、財政再建も本当に待ったなしの状況だ。菅総理は前門、後門に虎も狼もいる、永田町サファリパークを無事生き残っていかなければならない。油断したら、あっという間に食べられちゃって終わってしまう。気の抜けない一年になる」

　◆海老蔵は考え方が甘い　○…北朝鮮の砲撃や閣僚の辞任も吹き飛ばし、メディアを独占するのが、歌舞伎俳優・市川海老蔵の事件だ。安住氏は「殴られてけがしてるんだから、かわいそうといえばそうだが、あんな時間まで酒飲み歩いて…」と指摘。事件の事実関係は不明だが「日本の伝統文化を背負っているという責任感に乏しいのではないか。人気があるから、何でも自分の思うようになるとおごっているんじゃないか。世の中そんなに甘くない」と厳しかった。

　◆安住　淳（あずみ・じゅん）１９６２年１月１７日、宮城・石巻市（旧牡鹿町）生まれ。４８歳。早大社会科学部卒業後、ＮＨＫに入社。東京報道局政治部記者として、総理官邸や自民党を担当。退社後の９３年、新党さきがけなどの推薦で衆院選に初出馬するも落選。９６年、民主党の公認で初当選し、現在５期目。前原誠司代表のもとでは党選対委員長を務め、昨年５月の代表選では岡田克也氏を推した。ほかにも副幹事長、国対委員長代理などを歴任。「ＴＶタックル」などテレビ番組でもおなじみの論客。家族は妻、長女、長男。好きな歌手はＥＸＩＬＥと前川清。血液型Ａ。

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