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菅政権半年 足並みの乱れが深刻だ 12月10日(金)

 菅直人政権が発足して半年が過ぎた。期待を背負っての船出だったが、参院選で大敗したうえ、外交問題などでつまずきを見せ、支持率は落ち込む一方だ。来年の通常国会を乗り切れるか、瀬戸際に立たされている。

 菅政権に求められるのは、首相が先頭に立って足元の民主党を固め、目指す方向をはっきりさせることである。

 確固とした羅針盤を欠いたままでは、信頼は取り戻せない。

 菅政権は鳩山由紀夫前首相の退陣を受けて誕生した。課せられた使命は民主党政権の信頼の立て直しに尽きる。

 だが、発足直後こそ支持率を回復させたものの、その後は失点を重ねてきた。首相の「消費税発言」が影響して参院選で大負けし、与党が過半数を割り込む「ねじれ国会」を招いた。

 改造内閣発足後は中国漁船をめぐる一連の問題への対応で、外交・安全保障政策に疑問符が付けられた。そこに柳田稔前法相の「国会軽視発言」が重なり、支持率は危険水域に入っている。

 原因の一つは菅首相自身にある。首相には、熟慮を重ねた政策、それを実現していく戦略、周囲を説得する指導力が欠かせない。残念ながら、菅首相からはそうした面が伝わってこないのだ。

 例えば、就任当時、「強い財政」「強い経済」「強い社会保障」の実現を掲げ、消費税増税の必要性に言及した。けれども参院選後は、この看板がかすんで見えるのはなぜか。納得のゆく説明が聞かれないままである。

 首相は最近、社民党との連携を探り始めた。社民党は米軍普天間飛行場の移設問題をめぐって連立政権から離脱した経緯がある。こちらも理念を棚上げにして政権維持に奔走する姿と映る。

 原因の二つ目は、民主党内の足並みの乱れである。とくに、小沢一郎元代表と鳩山前首相の言動は理解に苦しむ。小沢氏は自身の政治資金問題について、いまだに国会で説明していない。

 小沢、鳩山両氏は自民党を離党した鳩山邦夫元総務相や新党改革の舛添要一代表と会食し、菅政権への不満を示したという。来年度の予算編成が大詰めを迎えているのに、溝を深めているように見えるのは深刻だ。

 小沢、鳩山両氏には民主党政権を支える責任があるはずだ。このままでは政権は再び自壊の道をたどりかねない。そうなれば政権交代を果たした意味そのものが問われることになるだろう。

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