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【国際】

イタリア政局緊迫 きょう内閣不信任案採決

2010年12月14日 朝刊

 【パリ=清水俊郎】イタリアの上下両院で十四日、ベルルスコーニ首相の内閣不信任決議案の採決がある。右派の与党、自由国民が分裂したため、下院で不信任が可決されるか否決されるかは極めて微妙な情勢で「一、二票差」と報じる伊メディアも。首相にとっては二〇〇八年五月に政権に返り咲いて以来、最大の危機だ。

 首相は十三日に上院で演説し、自国がギリシャやアイルランドに続いて深刻な財政危機に陥っていることを強調して「今、先の見通しのない政治的危機に突入するのは狂気の沙汰だ」と主張。採決の鍵を握る中道政党に連携を呼び掛けた。

 不信任が可決された場合、内閣はナポリターノ大統領に辞表を提出。その後、左派の野党と右派の一部による新たな連立与党の構築が模索されるが、経済的に豊かな同国北部の自治拡大を掲げる北部同盟のボッシ書記長が南部との連携を拒むため組閣は困難とみられ、大統領は下院の解散総選挙に踏み切る可能性が高い。

 首相は信任された場合も僅差なら政権の不安定さをあらためて露呈する格好となり、解散総選挙につながる可能性がある。

 数々の疑惑や暴言にかかわらず強力な政治力を保っていた首相に暗雲が漂ったのは、与党ナンバー2だったフィーニ下院議長が七月に国会議員三十人余と反旗を翻したため。買売春目的で首相邸に連れ込まれたことのある十七歳の少女が別の窃盗容疑で警察に検挙された際、首相自らが警察に釈放を働き掛けた疑惑なども追い打ちを掛け、最盛期に60%を超えた国民支持率は30%台まで落ち込んだ。

 採決前に与野党双方の多数派工作が激化。現地からの報道によると、与党が役職や資金援助を提示して左派の野党議員の一本釣りを図り、野党は「犯罪的な買収」と反発。検察当局が捜査を始めている。

 

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