小沢一郎元代表の国会招致問題をめぐり、民主党の役員会は岡田克也幹事長に対応を一任した。これを受けて、岡田幹事長は小沢氏と会談し、自発的に衆院政治倫理審査会(政倫審)へ出席するよう求めるという。
小沢派の議員らは、小沢氏に対する国会招致の動きに反発を強めている。かじ取りを誤れば、内紛に陥る懸念も捨てきれない。
いつまでごたごたを続けているのか、うんざりする有権者も少なくないのではないか。民主党には、結束を固めて内紛を避ける知恵が求められる。
岡田幹事長は当初、政倫審を開いて小沢氏招致の議決をする方針を決定するとしていた。これに対して輿石東参院議員会長らが反対を表明していた経緯がある。
岡田幹事長によれば、13日の役員会は▽小沢氏には自ら政倫審に出席し、説明するよう求める▽実現しない場合は、党が出席を決定する−といった内容を確認したという。小沢派の議員の反発に配慮した玉虫色の内容とみることができる。
ただ、小沢氏が会談に応じるかどうか、また応じたとしても政倫審へ出席するかどうかは不明だ。解決の糸口は依然として見えないままである。
2011年度予算編成が大詰めを迎えているときに足並みの乱れが表面化しているのは、菅政権にとって大きなマイナスだ。
小沢氏は民主党の代表選に出馬した際、政倫審や証人喚問に「私は逃げていない。受けたっていっこうに構わない」とテレビ番組で述べていた。潔白を強調するなら、もっと早く国会で説明責任を果たすべきだった。
ずるずると引き延ばしてきたことで、小沢氏本人だけでなく、民主党のイメージを損ねてしまった。小沢氏には、早急に岡田幹事長と会談し、政倫審に出席することをあらためて求めたい。
一方、菅首相や岡田幹事長もいままで何をしていたのかと批判されても仕方ないだろう。この大事な時期になぜ取り上げるのか、といった疑問がわく。
菅内閣の支持率が落ち込んだ大きな要因は、中国漁船事件などへの対応のまずさである。しかも自民党など野党は証人喚問を要求している。小沢氏が政倫審に臨んでも、プラスになるかどうか分からないといった声にも一理ある。
民主党政権はすべてが後手に回っている印象が否めない。この問題で混乱が続けば、国民の暮らしはますます置き去りにされる。