これまで諫干推進・開門反対の立場を貫いてきた民主党県連にとっても、菅首相の決断は寝耳に水だった。地元県連に相談もなく決められた上告断念に「(民主党が掲げる)地域主権はどうなったんだ」と憤りの声が渦巻く。来年4月の統一地方選を前に、政府・与党と県連との意見の食い違いが選挙に影響する、との懸念も広がっている。
長崎市内で15日に開かれた同県連の選挙対策委員会。渡辺敏勝幹事長は「菅首相に申し入れか抗議をして、県連の立場を表明する」と今後の対応を報告した。
県連は、政府の決定で「面目丸つぶれ」(渡辺幹事長)。外交問題での不手際や閣僚の失言などで民主党への逆風が続く中、諫干問題も新たな“火種”になりかねない状況だ。選対委では「選挙が戦いにくくなった」との発言も飛び出した。
山田正彦・県連代表(前農相)は「農水省は頑張ったが、官邸に押し切られた」と無念さをにじませる。民主党出身の西岡武夫・参院議長も「諫干に半世紀以上かかわっているが、地元の意思と全く違う」と語った。
一方、自民党県連も15日夜に県議団の議員総会を開き、対応を協議。小林克敏・県連政調会長は「上告断念は、低下する内閣支持率を取り戻そうとした手法で、納得できない」と批判した。
開門反対の公明党県本部も「今年2月の知事選や7月の参院選で、県民は開門反対の候補を選んだ」と強調。一方、開門賛成の社民党県連合は「判決がある以上、政府の判断はやむを得ない」と容認、共産党県委員会も「世論の後押しで判決が確定した。一日も早い開門を」としている。
=2010/12/16付 西日本新聞朝刊=