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菅直人首相は、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防常時開門を命じた福岡高裁判決について、上告断念を決めた。
直ちに開門して調査を実施し、有明海異変の原因究明を求めたい。
同事業は「動きだしたら止まらない大規模公共事業の典型」と批判されてきた。だが、上告断念は、政治主導で変更可能だということを明確に示した。
福岡高裁判決は一審に続き、堤防の閉め切りと漁業被害の因果関係を認めた。既に完成した事業に是正を求めた点で、今後の公共事業の在り方に一石を投じた。
高裁判決を待つまでもなく、有明海の異変の原因について、漁民や科学者は、諫早湾干拓事業の影響を指摘してきた。
国の機関・科学技術振興機構(JST)も、この干拓事業を失敗と判定し、同じ過ちを繰り返さないために「失敗百選」に同事業を加えたほどだ。
自民党政権は問題を先送りして、有明海の環境を悪化させ、漁業被害を拡大させてきた。政権交代を果たした民主党政権も腰が重かった。これは半世紀にわたる失政であり、農水省の責任は重い。
かつて諫早湾では、自然環境を巧みに生かした技術を使い持続可能な干拓が行われてきたという。
だが、半世紀前に国による大規模干拓事業が構想されてから一変した。先人の知恵は受け継がれず、食糧の自給自足という目的で、大規模干拓が計画された。
その後、政府はコメの減反に政策転換する。当初の目的を失ったにもかかわらず事業は続き、工期は大幅に延び、費用も約2500億円にまで膨らんだ。
JSTは、国が過去に実施決定した公共事業であっても、社会経済条件の変化について、的確に再評価するように求めている。一時しのぎで事態に当たると、かえって悪循環を招くと指摘している。
菅首相はかつて諫早湾干拓事業を「歴史に残る大失敗」と批判した。今回の上告断念は、果たして政治家としての信念を貫いたものだろうか。
低迷する内閣支持率回復効果を狙った「パフォーマンス」なら、国民の信頼は得られまい。
首相は自ら長崎、佐賀両県に足を運び、上告断念の真意を説明すべきではないか。その上で直ちに開門調査に着手してほしい。
「有言実行内閣」なのかどうか、真価が問われている。
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