【コラム】日本政界を見て改めた考え

 先ごろ忘年会で横に座った日本の記者に、「日本も大統領制を取るべきだとは思わないか」と問われた。わたしはちゅうちょせずに「そう思う」と短く答えた。

 日本に住んでいると、こうしたやりとりをたまに経験する。日本の政治家、知識人の大多数は、議院内閣制が日本のリーダーシップの危機を招いた主因だと考えている。1年ごとに首相が交代し、交代した首相の支持率は3-4カ月で20-30%台に急落する。これでは通常の国家運営だけで精いっぱいで、国家的な重大事項には手が付けられない。

 日本人は最近、韓国経済の好調を目にして、隣の芝が青く見えるというわけでもなかろうが、韓国の政治体制をうらやむ傾向がある。大統領という強いリーダーが、まるでほうきで庭を掃くように国を率いていると考えているようだ。「大統領制が韓国社会にもたらす副作用もある」と説明しても分かってはくれない。「議員内閣制だったら現在の韓国はないはずだ」と話す日本の政治学者にも会ったことがある。

 とはいえ、日本人は誰も憲法改正という「核爆弾」には触れない。現在の二院制を一院制に変え、与党のリーダーシップを部分的に強化するとか、首相を直接選挙で選ぶべきだといったアイデアは多い。国会内に「一院制実現議員連盟」というのもある。しかし、日本社会のどこにもそれを推進する動力はない。

 記者は約2年前に来日した当時、韓国には権力分散型の改憲が必要だと考えていた。政治部記者として10年を過ごしながら、トップの決断に左右される政治をうんざりするほど見てきたからだ。しかし、考えは変わった。議員内閣制にリーダーシップの低下が伴うという問題もあるが、それよりも日本の政治家の様子が、考えを改めた原因だ。

 日本の政治家は選挙が終わった翌月から次の選挙を意識するようだ。韓国ももちろんそうだが、日本ははるかにその傾向が強い。衆議院は現憲法下でこれまでに24回の総選挙を経験した。2年半に1回という計算だ。それだけに四六時中、選挙のことばかり考えざるを得なくなった。また、3年ごとに行われる参院選では中間評価を受けなくてはならず、与党は派閥抗争で割れ動揺する。リーダーシップというのが存在することさえ困難な体制だ。

 現在の日本には、国家の進路と関連した大きな二つの問題が存在している。消費税を2倍に引き上げ、社会保障費を調達するかどうか、米国主導の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に加わるかどうかだ。いずれも政治、経済、社会全体に大きな影響を与えざるを得ない。しかし、民主党政権がそれを突破できると信じる人に一人も会ったことがない。

 韓国でも定期的に改憲論が浮上する。議院内閣制導入に向けた政界の覚書が明らかになるなどの騒動も何回もあった。しかし、日本に住んでみて、「これは韓国が取るべき選択ではない」という考えがだんだん深まっている。

東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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