【東京】民主党の幹部と小沢一郎元代表との党内対立が深まるなか、民主党が年内にも分裂する可能性があるとの懸念が高まっている。そうなれば内政の一段の混乱は必至だ。
小沢氏が衆院政治倫理審査会への招致をめぐる問題で岡田克也幹事長に出席拒否を正式に伝えたことで、17日、党内対立が一段と緊迫した。一方で、支持率の低下に歯止めがかからない民主党政権は、外交や安全保障、経済といった難しい問題への対応に苦戦している。
国内メディアによると、菅直人首相が来週早々にも小沢氏と会談し、小沢氏の説得に直接乗り出す見通し。しかし、この説得が失敗に終われば、執行部が政倫審で招致議決する公算が高まっている。
こうした党内対立の深刻化を受けて、一部議員ならびに政治アナリストの間で、小沢氏が年内にも支持議員を引き連れて離党する可能性があるとの見方が出ている。新党を結成し来年から政府各種補助金を受け取るには、新党登録を年内に済ませる必要がある。
また、民主党は年明けの通常国会再開時に、衆参ねじれ国会を乗り切る試練に直面する。このため、菅内閣が解散・総選挙に追い込まれる可能性もある。
党幹部の小沢氏に対する断固とした態度はまた、民主党の野党支持獲得に向けた努力の一環ともみられている。野党は以前、民主党による小沢氏批判の消極性を非難していた。国内メディアによると、小沢氏の起訴は早ければ来年1月にも行われる可能性がある。
政府の外交問題での対応策のまずさといった問題に加え、小沢氏の政治資金問題もここ数カ月間、民主党の支持率低下の主な要因となっている。
小沢氏はこの日、岡田氏にあてた文書で、政倫審に自ら出席しなければならない合理的な理由はない、と回答。小沢氏は刑事裁判の中で粛々と闘っていくとの立場をあらためて示した。