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小沢氏政倫審拒否 いよいよ首相の出番だ '10/12/18

 国会招致問題はようやく次の局面に入ったのだろうか。

 民主党の小沢一郎元代表がきのう、衆院政治倫理審査会への出席拒否を岡田克也幹事長に回答した。これを受けて来週、菅直人首相自らが小沢氏と会談して出席を求めることになった。

 小沢氏が拒否を貫けば、年内にも政倫審幹事会を開いて招致を議決する構えだ。一方、小沢氏のグループでは両院議員総会の開催を求める動きがあり、党内の亀裂は決定的になりそうだ。

 臨時国会の前から、ずっと引きずってきた懸案だ。国民不在のごたごたは、もううんざりである。首相がリーダーシップを発揮して、決着を図るしかない。

 自身の資金管理団体の土地購入をめぐる問題で、小沢氏は10月初め検察審査会での議決を受け、強制起訴が決まった。その後、招致について「国会での決定に従う」と述べただけで説明責任を果たしてはいない。

 党執行部は自ら政倫審に出席するよう求めたが、小沢氏は拒み続けてきた。本来は政策論争に時間を割くべき臨時国会のはずだ。それを招致問題で与野党激突の場にしてしまった責めは免れない。

 今回、小沢氏は「裁判を行うことが確定しており、自ら出席する合理的理由はない」と回答した。司法の場で白黒つけるべきだと言いたいようだ。

 しかし、刑事責任と政治倫理上の責任は別であり、国会での説明は欠かせない。年明けからの通常国会でも二の舞いを演じれば、国民も愛想を尽かすだろう。

 菅内閣はこの問題を解決しない限り、政権浮揚など望めまい。「政治とカネ」の問題で自浄能力を示せないことが、支持率の低下や地方選での相次ぐ敗北の一因になっているのは間違いない。

 菅、小沢両氏が全面対決した代表選を経て民主党内には今、二つの党が存在するかのようだ。

 「脱小沢」で命脈をつなごうとするようにも見える菅首相や執行部。小沢氏側も神経戦を繰り広げる。地方選敗北や仙谷由人官房長官が参院で問責決議された問題に対し、執行部の責任を両院議員総会で問うことも視野に入れる。

 現時点では双方とも党を割ることにはためらいがあるようだ。ただ、一兵卒に徹するという小沢氏が党代表である首相の指示にどうしても従わない場合、離党勧告するのは当然だろう。指導力の真価が問われる局面は近い。

 小沢氏には首相の説得や政倫審の議決を受け入れ、招致に応じる選択肢も残されている。野党からさらに、うそが偽証罪に問われる証人喚問を求められるかもしれない。何もやましいことはないと言うなら、受けて立てばいいではないか。世論調査でも証人喚問を求める意見が半数を超える。

 小沢氏の招致ができなければ、民主党は分裂し、政界再編への引き金になるかもしれない。むしろ、その方がすっきりするとの声もある。そう言いたくもなるのが、今の民主党の姿である。




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