公明党が菅政権への対決一辺倒から硬軟両様の構えに微妙にシフトしつつある。山口那津男代表は参院で問責決議された仙谷由人官房長官らの辞任要求を堅持する一方、続投の場合も来年の通常国会で審議拒否しない考えを示唆。政権への批判は続けながら、国会運営ではキャスチングボートを握り存在感を発揮したい考えとみられる。
公明党は当初、仙谷氏らが出席する国会審議には応じない方針で自民党と足並みをそろえるなど野党共闘を優先させていた。ところが山口氏は16日、仙谷氏続投の場合の対応について「先の臨時国会としゃくし定規に必ずしも同じ対応をするわけではない」と突然、対決姿勢をトーンダウンさせた。
背景には当面の最重要課題である来春の統一地方選もある。「生活者の党」を掲げる公明党が審議拒否で来年度予算案などの成立が遅れれば「景気回復に水を差す」と批判され、地方選に影響が出かねないと危惧するからだ。
ただ、党内には「審議拒否戦術で国会が長期に空転すれば仙谷氏は辞めざるを得なくなる」(幹部)との見方から、野党共闘を維持すべきだとの意見も根強い。
菅内閣の支持率は既に「危険水域」とされる30%台を大幅に下回っており、強硬、柔軟いずれの路線を選ぶかは時々の世論の動向を見極めながら判断することになりそうだ。
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