2010年12月20日
「JR西日本社長の大糸線『存廃』発言は、社会的責任を放棄するもので、容認できない」
糸魚川市議会は16日、泉田裕彦知事に「長野県などと連携し存続に向けスピード感と緊張感を持って力強く行動されるよう要望する」との意見書を全会一致で可決した。
提案にかかわった古畑浩一市議は「(廃線は)田舎には住むなという話だ。大都市、大資本優先でなく、弱い者、地方の立場に立って考えるべきだ」と憤る。
糸魚川市は14年度末の北陸新幹線開業に向け、60億〜70億円を投じて新幹線につながる在来線駅舎や自由通路、駅周辺整備を進める。昨年は日本初の世界ジオパークに認定された。
同市は、新幹線開業を契機に、ヒスイ峡などのジオサイト(見どころ)を訪れる観光客を増やし、大糸線の利用促進につなげたい考えだ。
社長発言は、交流人口を増やそうと本腰を入れた矢先に飛び出した。米田市長は「鉄路はネットワークだから価値がある。JR西日本には広い枠で考え、糸魚川の取り組みを見てほしい」と語る。
JR西広報は「路線を限定した話ではなく、赤字路線についての考え方を述べたもの」としているが、大糸線が岐路に立っているのは間違いない。
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〈JR大糸線〉糸魚川と長野県松本市を結ぶ105.4キロ。87年の国鉄分割民営化で、糸魚川―南小谷間がJR西日本、南小谷―松本間がJR東日本の経営となった。南小谷から新潟側は電化されておらず、ディーゼル車が1日9往復運行。JR西によると、糸魚川と南小谷を除く7駅からの08年度の乗車数は1日平均51人で、98年度(同218人)の4分の1以下。