広汎性発達障害の男子生徒に暴力を受けて心身を傷つけられたとして、米子市内の中学に通っていた女性が、学校を運営する米子市日吉津村中学校組合と加害生徒の両親に500万円の損害賠償を求めた訴訟が鳥取地裁米子支部(三島琢裁判官)で和解した。原告側が17日、発表した。和解は今月3日付。
和解内容は、被告が肉体的精神的苦痛を与えたことを認めて慰謝料50万円を支払い、学校側は特別支援教育の環境整備のため人員拡充やカリキュラム作成に努力するというもの。
訴状によると、原告女性は中学に在籍した05年、同級だった加害生徒から腹部をけられたり、机をぶつけられて負傷。ショックのため数日間学校を休んだ。担任や校長に相談しても、「そういう人だから我慢しなさい」などと言われるだけで特段の対策は講じられなかったという。原告は、加害生徒の両親は感情のコントロールが困難な生徒を指導せず、学校も安全配慮義務を怠ったと主張した。
三島裁判官は和解勧告書で、学校の対応や加害少年の両親の監督が不十分だったことを指摘。学校、行政、地域社会が特別支援教育について正しい認識を共有することが不可欠との考えを示していた。
原告代理人は「裁判所の勧告は、支援教育拡充の必要性に踏み込んでおり、意義深い」と話している。【小松原弘人】
毎日新聞 2010年12月18日 地方版