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04 松村秀雄氏


PART2クリーンなエネルギーでクリーンな野菜を

PART 1 野菜にも用途に合わせたジャンルがあっていい

従来型の農業と植物工場双方の特徴を熟知している松村氏は「工場産野菜は従来とは違ったジャンルのもの」だと言う。工場産野菜をまったく違った「製品」として捉え直してみると、工場産野菜の未来や可能性が見えてくる。新たな広がりを見せつつある「植物工場の未来」とは?

エコを考え自然エネルギーを使った植物工場

太陽光発電が注目されているといっても、個人用と事業用ではケタが違いますから、
なかなか難しいですね。

ハイテクファーム

松村 ここの電気を全部太陽光発電でまかなおうとすると、新たに数千万円の投資が必要になります。電池の開発も必要になるので、
国や自治体の力を借りながら、「クリーンなエネルギーでクリーンな野菜を安く提供する」という理想を実現する方法を模索しています。

太陽光、風力などの自然エネルギーを使ってできたら、初期投資はかかるけど、ランニングコストは安くなる。でも、現時点では電気を買うのが一番安いんです。LED技術や太陽光発電など、CO2削減の流れにも乗りながらメーカーの技術開発とうまくリンクできれば、植物工場のコスト負担も軽くて済むのですが。

生育を人工照明によって行う植物工場は、原価に占める電気代が約3割を占めます。その問題をいかに解決するかが課題です。実際、植物工場をやりたいという人は今、個人・法人を問わずたくさんいらっしゃるんです。何回目かのブームがやってきているように感じますね。「施設を見せて欲しい」という連絡はメールやファックスで毎日のように入ります。国内だけでなく海外からの視察もあります。中国、韓国、台湾、香港などからも、農業関係者や自治体の方などが視察に見えます。

アジアでの植物工場の技術は日本がいちばん進んでいる。もちろんその技術の基礎になるのがICTであるということは言うまでもないでしょうね。これだけ新規にやりたい人たちがいるのだから、日本はそのICT技術を最大限に発揮し、エネルギーをはじめとする諸問題をなんとか早期に解決して、クリーンなエネルギーでクリーンな野菜が作れる工場が増えるといいですね。


植物工場の未来

松村さんが植物工場で今後取り組みたいと思っていることについて、お聞かせいただけますでしょうか?また、松村さんにとって「植物工場」とはどんな農業ですか?

ハイテクファーム

松村 先日、振動や圧力で発電する「音力発電」のセミナーに行って話を聞いてきたんですよ。振動で電気が起こせるのなら、例えば、鉄道の高架下に植物工場を作って、その振動で発電すれば電気代が安くあがるんじゃないかと思って。まだすぐに実用化できる技術ではありませんでしたが、これだけ技術進歩の早い時代ですから新しい技術には常にアンテナを張っておきたいですね。

植物工場で作られているのは、今は葉もの野菜が中心ですが、根菜や実がなる野菜を工場で作るための研究も進んでいます。あとは、健康食品や医薬品関連分野など、植物工場の利点を活かして、何かに特化した生産スタイルを確立することも大事だと思います。工場という閉鎖性、外界と遮断されている特徴を活かしていく道ですね。医薬品の分野で言えば、精神を安定させる成分を今は大腸菌で作っているそうなのですが、先日、それをレタスで作るという取り組みがあることを知り「これは植物工場向けだ!」と思いまして、実際にその研究をされている先生を訪ねて、いろいろお話を伺ってきました。これからはこういった医薬品の分野にも役立つ、高付加価値の野菜作りにもチャレンジしてみたい。

今は「農業」をやっているという感覚はあまりないんですね。職種は確かに農業なんですけれど、工場で作っているものがたまたま野菜、農産物だという感じでしょうか。僕は農業と植物工場に出会って、なんでも面白くてこれまでやってこられました。発電でも、遺伝子技術でも、先端の新しい技術に対する興味が常にあって、植物工場に応用できないかといつも考えています。それが楽しいから、植物工場は僕が生涯を懸けて取り組む仕事。そういった最先端の研究を支えているのがICTだと思っています。


農事法人組合施設野菜高度生産組合ハイテクファームの業績

1993年度と2006年度を比較してみると、売上額、雇用者、取引業者ともにほぼ倍増。通年生産でき、農薬未使用・低菌数であり洗わずに使えることから、サンドイッチや巻き寿司などの業務用としても好評を得ている。(経済産業省「農商工連携88選」ホームページより)

▼インタビューを終えて
ICTの発展とともに進化し続ける植物工場。栽培技術や新しい品種の開発、効率のよいエネルギー開発などそれぞれの分野で技術革新が目覚しいスピードで進化している。農業モデルの設計・測定・分析をはじめ、植物の成長条件や環境への配慮など、どれひとつとってもICT技術なしには存在し得ないものばかりだ。農学・生物学・医学・工学の分野を横断してICTがカギを握る21世紀の農業。松村氏の言う「特定分野に特化した、新しい工場野菜を生産する時代・クリーンなエネルギーでクリーンな野菜を生産する時代」は、もうすぐそこまでやってきているのかもしれない。


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松村秀雄氏
松村秀雄氏 農事組合法人ハイテクファーム代表取締役 1950年、福井県生まれ。生家は米とスイカの農家。35歳まで工場勤務と農業を兼業。当時より植物工場の存在に注目、研究を重ね、植物工場の経営・運営に専念することを決意。1992年、福井県越前市にハイテクファーム武生工場をオープン。2002年からは園部町野菜工場より委託を受け運営にあたる。現在は2つの工場でサラダ菜、リーフレタス、フリルレタスを通年生産。2008年、農林水産省と経済産業省による「農商工連携88選」に選定されるなど高い評価を受けている。1993年と2006年の比較では、売上額、雇用者、取引業者ともほぼ倍増。


ICT キーパーソンズ 04 松村秀雄氏

PART 1 野菜にも用途に合わせたジャンルがあっていい

PART 2 クリーンなエネルギーでクリーンな野菜を



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