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豊川一家殺傷:「いじめで引きこもり」被告と本紙記者面会

 愛知県豊川市で4月、岩瀬一美さん(当時58歳)ら一家5人が殺傷された事件で、殺人や殺人未遂などの罪で起訴された長男高之被告(30)が今月、勾留先の県警豊川署で毎日新聞記者と面会した。高之被告は15歳ごろから自宅に引きこもったと話し、きっかけを「中学で受けたいじめ」と説明。引きこもり生活でのめり込んだインターネットについて「何でもできるもの。欠かせない存在だった」と話した。

 面会は14、15日の2回行った。高之被告は逮捕直後の県警の調べに「家族にネットを解約されて腹が立った」と供述したとされるが、引きこもりの経緯やネットへの依存が本人から明らかにされたのは初めて。

 高之被告は中学生活を「中1からずっといじめられ、教科書やカバンを隠された」と振り返った。引きこもり生活では、オンラインゲームや、漫画やゲームソフトを中心にネットショッピングに没頭したといい「父さんの金で買った。買う必要のないものまで買いたくなった」と話した。

 しかし事件については「記憶があまりない」。「反省している。やらなきゃよかった」と話す一方、高額の買い物に困った家族がネットを解約したことに怒ったとされる事件の動機を「許せなかったと思うけど、覚えていない」、乳児を含む家族5人を襲った理由を「分からない」と語った。

 事件は裁判員裁判の対象で、複数人殺害に対する量刑や情状が争点となる見通し。面会の内容を受け、長谷川博一・東海学院大教授(臨床心理学)は「裁判員は被告の生い立ちやネットを切られてパニックになった過程を理解しなければならない」として、検察側の精神鑑定と別に、被告の生い立ちや事件前後の心理状態を調べて量刑判断の参考とする情状鑑定の必要性を指摘している。【沢田勇】

毎日新聞 2010年12月19日 2時35分

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