「世界的な韓国料理の見本を作りたい」(中)
このような現状の中、ロッテホテルが「ムグンファ」をリニューアルオープンし、韓国料理店を強化したのは、G20首脳会議と韓国料理のグローバル化の動きに足並みをそろえ、外国人客がより手軽に、きちんとした韓国料理に接することができるように、という目的からだ。普段から韓国料理を好んで食べているロッテグループの辛東彬(シン・ドンビン)副会長が昨年9月、「韓国訪問の年」の委員長に選出されてから、韓国料理を世界に広めることにいっそう関心を持ったことも、理由の一つといえる。
■世界中の人の舌を満足させるメニューを開発
韓国料理店「ムグンファ」リニューアルオープンのためにロッテホテルが力を注いだのは、外国人の舌を満足させることができるメニューの開発だった。伝統的な韓国料理を普及させるのか、外国人の舌に合ったフュージョン料理を活性化させるのかをめぐり、数カ月にわたり悩み続け、試行錯誤を繰り返した。その結果、「ムグンファ」で提供する韓国料理は、昔の「班家料理(昔、貴族の家で食べられていた料理)」を基盤とした現代式コース料理となった。すべての料理を一度にテーブルに並べる伝統的な形式ではなく、西洋料理のように、何種類かの料理をコースに分けて順番に出すことにした。その代わり、調理法や食材については、伝統料理の正統性を追求する。
5種類の味がする五味子ゼリーの上に載せたアワビ料理、天然のまつたけを薄くスライスし、鶏肉と野菜でだしを取ったスープにきれいに盛り付けたまつたけめん、ニンニクとキムチを使った牛肉巻きを、西洋式のフィンガーフード(手でつまめる料理)のように、一口大で食べやすく提供するなど、世界的な料理の手法を韓国料理に応用した。それとともに、韓国の伝統酒はもちろん、350種類以上のワインを用意した。伝統茶のソムリエが、料理と合う飲み物を提供する。