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【土・日曜日に書く】上海支局長・河崎真澄 一人っ子政策の犠牲者たち (1/3ページ)
このニュースのトピックス:中国
捨てるしかなかった…
「そのとき両親はきっと貧しくて私を捨てるしか生きる道がなかったの。私も貧乏に育ったからそれが分かる。もし会えたら両親を恨んだりしない。許します」
中国のインターネットで、不特定多数の参加者が画面上でチャット(おしゃべり)する「QQ」と呼ばれるサービスに、生みの親を探す女性たちが集まるコーナーがある。QQ名を「天上人間」と名乗った福建省の27歳の女性に、チャットを通じて聞いた話だ。
養父母は生まれたばかりの彼女を1983年に仲介業者から200元で買って育てたという。公務員の月給が約50元だった時代。農業を細々と営んでいた養父母は1人息子の将来の嫁にと、なけなしの現金を用意した。だが息子は子供のころ病死。結局、養女になった彼女は今、年老いた養父母の生活のために必死に働く毎日だ。
福建省の北部で、80年代から90年代にかけて1万人以上の乳幼児が仲介業者に売られたとされ、彼女はQQのコーナーで同じ境遇の女性らと情報交換して肉親捜しを続けているが、まだ有力な手がかりはなにも得られていない。
実際、この広い中国全土で、いったい何人の子供が彼女と同じような境遇にあるのか、そんな集計も、当局の支援すらもない。
闇に包まれた世界だが、売られたのは大半が「女の子」という事実だけははっきりしている。
戸籍のない数億人の子
中国では農村などで今も「跡継ぎになる男の子は大事だが、女の子なら食い扶持がかかる」との考え方をもつ親が後を絶たない。
この悪癖に、人口増加抑制のため79年12月に義務化された「一人っ子政策」が拍車をかけた。