教授
、1952年生
総合社会科学専攻:社会文化研究分野(社会哲学)
研究室:図書館1階北ウィング
オフィスアワー:木曜日3時限
大学院:
専攻 | 分野/科目群 | 番号 | 科目名 | 学期 | 曜日 | 時限 | |
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総合社会科学専攻 | 社会文化研究分野 | 4201 | 社会哲学 | 夏 | 木 | 4 | |
総合社会科学専攻 | 社会文化研究分野 | 4211 | リサーチワークショップ | 通年 | 集中 | ||
大学院ゼミナール |
学部:
科目区分 | 番号 | 科目名 | 学期 | 曜日 | 時限 | ||
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社会文化研究分野 | 42302 | 社会倫理学 | 夏 | 金 | 3 | ||
学部後期ゼミナール(2011年度版案内|2010年度版案内) |
倫理学、近代英仏思想史、相対主義と普遍主義、進化論に関する哲学的考察
ここ数年、道徳的相対主義と普遍主義との複雑な関わりを探求してきた。現在の国境ボーダーレス化状況のなかで、19世紀以来のヨーロッパ中心的普遍主義が「文化帝国主義」であったとの反省から文化的多元論が盛んに唱えられるようになっている。この文脈において「啓蒙的理性」もまた否定的に評価される傾向にある。ここには確かに正当な指摘が含まれるが、問題はさほど単純でない。第一に、文化的多元論や価値相対主義が果たして無制限に承認されるべきなのかという倫理学における根本問題がある。第二に、しばしばこの文化帝国主義の原型とも見なされてきた18世紀啓蒙主義が、はたしてそのような理性絶対主義の主張にとどまるものであったかという思想史的問題がある。こうした問題意識をふまえて、17・18世紀から現代に至る思想史の読み直しを含めた原理的検討を行いたい。またこれとも連関するが、私の年来の研究対象であるフランスの啓蒙主義哲学者コンディヤックも含め、デヴィッド・ヒュームらに発する自然主義的倫理学を現代的な文脈で再検討するという作業も行いたい。そこでは、広義の進化論的な議論--人間的自然の類的展開過程--が深くわってくる。言うまでもなく、進化論と倫理学との関係は、社会ダーウィニズムや「優生学」などからも明らかなようにきわめて慎重な取り扱いを要するものではあるが、そうしたクリティカルな問題を直視しつつ、進化理論の現代的諸形態(デネットやブラックモアら)の可能性を探ってみたい。
1976年 3月 東京大学文学部卒業
1976年 4月 東京大学大学院人文科学研究科修士課程入学
1978年 3月 同課程修了
1978年 4月 東京大学大学院人文科学研究科博士課程進学
1983年 3月 同課程単位取得退学
修士号(1978年 文学修士、東京大学)
1983年 4月 日本学術振興会奨励研究員(84年 3月まで)
1984年10月 山梨県立女子短期大学助教授
1990年10月 千葉大学教養部助教授
1994年 4月 千葉大学文学部助教授に配置替え、同大学院文学研究科兼任
1995年 4月 一橋大学社会学部助教授、同大学院社会学研究科兼任
1996年 4月 一橋大学社会学部教授
2000年 4月 一橋大学大学院社会学研究科教授に配置替え
・古茂田宏編『21世紀への透視図:今日的変容の根源から』(編著), 青木書店, 2009.12.17
・渡辺雅男・渡辺治編『「現代」という環境』(共著), 旬報社, 2007.5.10
・フォーラム哲学編『翼ある言葉』(共著), 青木書店, 2002.7.24
・『ビンボーな生活ゼイタクな子育て』, はるか書房, 1999.7.5
・フォーラム哲学編『言葉がひらく哲学の扉』(共著), 青木書店, 1998.3.19
・『醒める夢冷めない夢――哲学への誘惑』, はるか書房, 1995
・『モダニズムとポストモダニズム』(共著), 青木書店, 1988.6.25
・新時代工房編『公園通りのソクラテス』(共著), 汐文社, 1987.5.25
・小倉志祥編『近代変革期の倫理思想』(共著), 以文社, 1986.2.25
・新時代工房編『喫茶店のソクラテス』(共著), 汐文社, 1984.11.20
・日本倫理学会編『思想史の意義と方法』(共著), 以文社, 1982.10.15
・「自然と権利--明治期における進化論受容に即しつつ」日本哲学会国際交流WG編『哲学の現在』, 斯文堂, 2009.9
・「人権と進化--内藤淳『自然主義の人権論』に寄せて」岡山人権問題研究所編『人権21調査と研究』 通巻197号, サンコー印刷, 2008.12
・「模倣するヒト(ホモ・イミータンス)――18世紀からの予言」総合人間学会編『総合人間学』 通巻2号, 学文社, 2008.6
・「戦争の自然学(ピュシカ)--進化論的人間本性論によせて」東京唯物論研究会編『唯物論』 通巻79号, 藤原印刷, 2005.12
・「ハンナ・アーレントの革命論--自由と<胃袋(ネセシティ)>の問題」吉田傑俊・佐藤和夫・尾関周ニ編『アーレントとマルクス』, 大月書店, 2003.9
・「アメリカにおける「差異の政治」とナショナリズム--マイケル・ウォルツァーに関する覚書」唯物論研究協会編『唯物論研究年誌』 通巻8号, 青木書店, 2003.10
・「相対主義と寛容のプロブレマティーク--「収斂」の新たなイメージに向けて」日本哲学会編『哲学』 通巻53号, 法政大学出版局, 2002.4
・「『日本国憲法から援助交際が生まれた』という西部邁説をめぐって――現代倫理学の論争の地平から」浜林正夫・山科三郎編『徹底批判「国民の道徳」』, 大月書店, 2001.6
・「コミュニタリアニズムの日本的一形態--西部邁氏の『国民の道徳』について」『総合研究プロジェクトディスカッション・ペーパー』 通巻6号, 一橋大学大学院社会学研究科, 2001.3
・「同情・権力・テロル――ハンナ・アーレントの革命論によせて」『日本倫理学会大会報告集』, 1999
・「道徳的相対主義と寛容の限界――座標設定と批判の試み」『唯物論研究年誌』 通巻2号, 青木書店, 1997
・「魂とその外部――コンディヤックの視覚・触覚論によせて」『一橋大学研究年報人文科学研究』 通巻34号, 1997
・「文化と文化の衝突――新権威派の学校論によせて」汐見稔幸編『講座・学校3巻 変容する社会と学校』, 柏書房, 1996
・「コミュニケーションと他者――人称的構図の素描」尾関周二編『思想としてのコミュニケーション』, 大月書店, 1995
・「アブラハムの神とアステカの神の狭間で――価値観をめぐる断章」『未来をひらく教育』, 全国民主教育研究会, 1996
・「意識と他者――独我論とアニミズムの中景」嶋崎隆他編『意識と世界のフィロソフィー』, 青木書店, 1994
・『アメリカ人であるとはどういうことか--歴史的自己省察の試み』(原著:Walzer, Michael What it means to be an American, Marsilio Publishers, New York, U.S.A, 1996年, 英語)『アメリカ人であるとはどういうことか--歴史的自己省察の試み』, ミネルヴァ書房, 2006.1.20
・『両性平等論』(共訳) (原著:la Barre, Francois Poulain de De l'egalite des deux sexes, Fayard, Paris, France, 1675年, フランス語), 法政大学出版局, 1997.7.22
・『人間認識起源論(上)』(原著:Condillac, Etienne Bonnot de Essai sur l'origine des connaissances humaines, P.U.F., Paris, France, 1746年, フランス語), 岩波書店, 1994.6.16
・『人間認識起源論(下)』(原著:Condillac, Etienne Bonnot de Essai sur l'origine des connaissances humaines, P.U.F., Paris, France, 1746年, フランス語), 岩波書店, 1994.8.19
・「自然と権利――明治期における進化論受容に即しつつ」, 第2回日中哲学フォーラム, 2009.4, 中華人民共和国,遼寧大学
・「近代哲学の基本三公理について――動物論を手がかりに」, 唯物論研究協会第31回大会, 2008.10, 首都大学東京
・「共通課題「仕事・職業・労働」討議報告への特定質問」, 日本倫理学会大59回大会, 2008.10, 筑波大学
・「相対主義と寛容のプロブレマティーク」, 日本哲学会第53回大会, 2002.6, 九州大学
・「「公共性」の再定義--コミュニケーション論モデルを下敷きにして」, 唯物論研究協会第23回大会, 2000.10, 千葉商科短期大学
・「同情・権力・テロル――ハンナ・アーレントの革命論によせて」, 日本倫理学会第50回大会 シンポジウム報告, 1999.10, 大阪大学
・『進化論と倫理学のインターフェイスに関する基礎研究』, 文部省科学研究費補助金研究成果報告書, 2008.6.1
・『道徳的相対主義に関する基礎研究』, 文部省科学研究費補助金研究成果報告書, 2003.3.31
・(書評) 山口裕之著『コンディヤックの思想』 (勁草書房, 2002.11.1), 『フランス哲学思想研究』 通巻8号, 2003.9.10
・大庭健、他編『現代倫理学事典』, 弘文堂, 2006.12.15 (執筆項目:ドルバック、ベール、ルソー, 651,765,873‐4頁)
・小林道夫・小林康夫・坂部恵・松永澄夫編『フランス哲学思想事典』, 弘文堂, 1999.1.30 (執筆項目:コンディヤック, 128-138頁)
・星野勉、三嶋輝夫、関根清三編『倫理思想辞典』, 山川出版社, 1997.3.1 (執筆項目:サディズム・マゾヒズム、暫定道徳、自然法、進歩、道徳と習俗、モンテスキュー、ルソー, 105-6,108,115-7,156-8200-2,295-7頁)
・南塚信吾編『歴史学事典第4巻(民衆と変革)』, 弘文堂, 1996.12.15 (執筆項目:啓蒙主義、自然法、社会契約論, 164-6,242-3,262-3頁)
・「思考形成する文化遺伝子」『読売新聞(多摩版)』, 読売新聞社, 2006.10.27朝刊
・日本学術振興会科学研究費補助金一般研究C, 「進化論と倫理学のインターフェイスに関する基礎研究」(研究代表者), 日本学術振興会, 2005-2008
・日本学術振興会科学研究費補助金一般研究C, 「道徳的相対主義に関する基礎的研究――18 世紀フランス思想史を中心に」(研究代表者), 日本学術振興会, 1999-2002
・日本学術振興会科学研究費補助金一般研究C, 「他者論に関する基礎的研究――18 世紀フランス思想史を中心に」(研究代表者), 日本学術振興会, 1995-1997