佐賀

　◇警察から真相聞いてない

　佐賀市で０７年に知的障害者の安永健太さん（当時２５歳）が警察官に取り押さえられた直後に急死した問題で、県警巡査長、松雪大地被告（３０）が特別公務員暴行陵虐傷害罪に問われた審判の第８回公判（７日）。安永さんの父孝行さん（４９）が証人として出廷し、検察役弁護士が尋問した。

　【安永さんの特徴】

　検察役　安永さんは社会において普通の大人との会話に支障はあるか。

　証人　支障はあるが、簡単な会話ならできる。

　検察役　どんなことに気を付ければいいか。

　証人　ゆっくり丁寧に言えばほとんどできる。

　検察役　善悪の判断は。

　証人　できると思う。

　検察役　自転車の乗り方が乱暴だったとかは。

　証人　これといって大きな事故もなかった。ずっと一緒にいたわけではないが、普通に乗っていたと思う。

　検察役　車道暴走、交通妨害したと聞いたことはないか。

　証人　今までになかった。

　検察役　力が強かったとこれまで法廷で出てきているが。

　証人　体格は確かに良いが、力は健常者ほどではない。

　検察役　性格は。

　証人　一言で言えば純粋無垢。おとなしいし、近所の小さい子供とも遊んだり、けんかしたのを見たことがない。

　検察役　けんかをしかけられ、向かっていくことは。

　証人　ない。じっと立ち去るようにして、腹を立ててもぷりっとしていなくなるような感じ。

　検察役　腹を立てて誰かに攻撃することは。

　証人　ない。できない。

　【事件について】

　検察役　安永さんの事件を最初に知ったきっかけは。

　証人　（安永さんの）祖母からの電話で。

　検察役　どんな内容か。

　証人　健太がバイクにぶつかって、逃げて、取り押さえられ意識がなくなって病院に運ばれた、と。

　検察役　その次の行動は。

　証人　警察に電話し県立病院と告げられ、すぐに病院に駆けつけた。

　検察役　病院でどのように問いただしたのか。

　証人　警察から「自転車で止まっていたバイクにぶつかり、逃げたので取り押さえた」と説明があった。その後、薬物やアルコールは取っていないかと何度も聞かれた。

　検察役　経緯を聞いたか。

　証人　当日は死んだと聞かされて頭が真っ白になった。翌日、新聞かテレビで「保護」と報じられているのを見た。病院で（その言葉を）聞いてなかったので、逮捕されていたと思っていた。翌日「保護」という言葉が出て、何かおかしいと思った。

　検察役　保護に疑問を感じ、どういうことを調べたか。

　証人　事件後すぐは何する気力もなかったので、義姉に警察に聞くよう頼んだ。（義姉が）病院で話を聞いた警察官に聞きに行き、最初はあやふやだったが「どこからどこまで逃げたのか」と事情を問いただすと「逃げてはいない」とか答えるのでおかしいと思った。

　検察役　最終的に警察からはどんな説明が。

　証人　最後の説明、というのは全くない。途中途中、保護に対しても精神錯乱という言葉が出てきて、次から次に付け加えられた。真相を聞いてない。＝つづく