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「安永さんに暴行してない」 巡査長、被告人質問で

■安永健太さん取り押さえ死 第9回公判

 

 知的障害者の安永健太さんが警察官に取り押さえられた直後に死亡した事件で、特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われた佐賀県警巡査長松雪大地被告(30)の第9回公判が16日、佐賀地裁(若宮利信裁判長)で開かれた。松雪被告は初めての被告人質問で「健太さんに暴行したことも、けがを負わせたこともない」と答えた。

 

 弁護側から、付審判請求で1人だけ起訴されたことについて尋ねられると、松雪被告は「厳格な証拠に基づき認定されるものと思っていたので納得できない」と答えた。取り押さえ行為については「健太さんの一連の行動を見れば保護すべきであったと思うし、違法行為だとは思わない。やり過ぎたこともありません」と強調した。

 

 弁護側からの安永さんを知的障害者だと分かっていたら対応を変えていたかという質問には「精神錯乱状態だとみて保護したので対応は変えない」と答えた。これを受けて検察官役側が知的障害者と精神錯乱者の違いについて尋ねると、「障害の有無に関係なく、問いかけに応じず、意味不明の言動をとる人が精神錯乱者」との見解を示した。

 

■後ろ手に手錠、抵抗を抑える最終手段だった

 

 被害者参加制度に基づき出廷している安永さんの遺族の代理人弁護士が、安永さんを後ろ手に両手錠にした理由を尋ねると「健太さんの抵抗を抑える最終手段だった」と答えた。

 

 また、亡くなった安永さんについて「とても残念に思います。ご遺族にお悔やみ申し上げます」と述べた。報道の影響については「名前や容姿を報道され、人の目を気にしないことがなくなり、生活が一変した。家族らに迷惑をかけていると思うとやるせない。警察全体にも負担をかけ、心が痛い」と答えた。

2010年12月16日更新

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