事業仕分け:特会対象に48事業84項目 無駄洗い出しへ

2010年10月20日 22時4分 更新:10月20日 23時28分

 政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)が20日開かれ、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾の前半日程(27~30日)で取り上げる48事業・84項目を決めた。特会は一般会計から切り離して所管省庁が管理・運用しているため、外部からのチェックが難しく、特会の無駄を洗い出すのが第3弾の目的。首相は会議で「存在理由がないものは大胆に廃止していく」と述べ、不要と判断した特会は廃止や一般会計に統合する方針を示した。

 特会は年金保険料のように特定の目的に沿って集めた資金を一般会計と分けて扱い、その目的以外に使われることを防ぐ制度。「所管省庁の既得権益化している」「時代に合わない事業を惰性で続けている」と批判されてきた。第3弾では、特会によって実施している個別事業だけでなく、特会の仕組みや制度に無駄がないかも大きな論点となる。

 個別事業としては、「エネルギー対策特会」(経済産業、環境、文部科学省所管)で経産省と環境省が別々に行っている太陽光熱利用事業や、「社会資本整備事業特会」(国土交通省)でバブル期から続くスーパー堤防事業など48事業が仕分け対象となる。「年金特会」(厚生労働省)で実施している年金記録と紙台帳の照合事業は民主党の重点政策だが、これも対象とする。

 資金の管理・運用が中心の「国債整理基金特会」(財務省)や「外国為替資金特会」(同)などは制度自体を検証する。「制度仕分け」の場合は特会単位か、特会の中に複数の勘定があれば勘定ごとに1項目と数え、個別事業数と合わせた対象項目は84となる。

 会議では民間の仕分け人29人も決定。国会議員の仕分け人13人とともに二つのワーキンググループに分かれて仕分けに当たる。

 特会を巡っては、自民党政権時代の03年に塩川正十郎財務相(当時)が「母屋(一般会計)でおかゆを食って辛抱しているのに、離れ(特会)ですき焼きを食っている」と指摘。31あった特会を18まで統廃合したが、社会資本整備事業特会に治水や港湾など統合前の特会に対応した勘定が残るなど、「数合わせ」との批判も出ていた。

 首相は会議で「長年の議論に終止符を打つ覚悟で臨んでいただきたい。内閣を挙げてサポートしていく」と強調。「特別会計の中には埋蔵金ならぬ『埋蔵借金』がある」とも述べ、特会の中でこげついた形になっている国庫などからの借入金も含め、特会の実態を仕分けによって明らかにする考えを示した。

 ただ、10年度予算で特会の歳出純計額176.4兆円の9割超が国債の償還費や社会保障費などの義務的な支出。埋蔵金として期待される積立金は09年度決算で182.4兆円あるが、7割を将来の年金の支払い原資が占め、大幅な取り崩しは難しい。このため蓮舫行政刷新担当相は「額の目標は一回も掲げていない。仕分けは税金が正しく使われているかを問うものだ」と財源捻出(ねんしゅつ)への期待に予防線を張っている。【谷川貴史、青木純】

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