「「自分の人生終わりに」増える破滅型通り魔」の記事詳細：イザ！

　１７日午前７時４０分ごろ、茨城県取手市のＪＲ取手駅西口で、ロータリーに停車中の関東鉄道の路線バス２台に男が次々と乗り込み、車内にいた江戸川学園取手中・高校（取手市）の生徒らを刃物で切りつけたり殴ったりした。乗客の男性が取り押さえ、県警が殺人未遂の疑いで茨城県守谷市の無職、斎藤勇太容疑者（２７）を現行犯逮捕した。

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記事本文の続き　茨城県警によると、江戸川学園の高校生８人と中学生４人、会社員女性２人の１４歳～５９歳の男女計１４人が軽傷で、斎藤容疑者も右手にけがをした。取手市消防本部によると、１４人のうち５人は顔や手に刃物によるとみられる切り傷を負っており、ほかは頭などの打撲。

　県警によると、斎藤容疑者は「自分の人生を終わりにしたかった。不特定の人を包丁で傷つけたのは間違いない。殺すつもりまではなかった」と供述。数日前に家出、この日は取手市外から現場まで歩いてきたらしい。

　「おとなしくて無口」「長髪でひげも伸び放題」。斎藤容疑者の新興住宅地にある自宅周辺の住民によると、姿を見せることは少なく、言葉を交わすこともほとんどなかった。

　近所の男性によると、斎藤容疑者は両親と姉と一緒に住んでいたが、母親は４、５年前に死亡。庭の手入れが好きという父親も、近所付き合いはあまりしていない様子だった。

　一方、負傷した中高生を治療した取手北相馬保健医療センター医師会病院がこの日記者会見。鈴木武樹院長は「心的外傷後ストレス障害（ＰＴＳＤ）が懸念される」と話した。

　生徒らが通う江戸川学園取手中・高等学校によると「ショックで震えが止まらない」と訴える生徒もいたという。

　担当医師によると、搬送されたときは硬い表情だった生徒らが、家族が到着してようやく「『やっと来てくれたのね』といった安（あん）堵（ど）の表情を見せた」という。

　近年の通り魔事件では、「死にたい」という身勝手な理由で無差別に人を襲う「破滅型」の犯行が目立つ。今回の斎藤容疑者は「人生を終わりにしたかった」と供述しており、何の落ち度もない被害者側には怒りが募る。

　警察庁によると、２０００年以降、全国で発生した通り魔による殺人、殺人未遂事件は計７４件。今年は１６日までに５件起きており、５月に大阪市旭区のパチンコ店で無職の男が客に刃物で切りつけた事件では被害者が死亡している。