2010年12月18日16時12分
ノコギリクワガタの下手投げか、ミヤマクワガタの上手投げか――。クワガタが戦う時、ノコギリは下から挟んで投げ飛ばし、ミヤマは上から投げる傾向があることを、京都大の本郷儀人グローバルCOE研究員(動物行動学)が見つけた。オーストラリアで開かれた国際行動生態学会で発表した。
2008年と09年のふた夏かけ、京都市の雑木林で昼間に樹液の出る木を探し、夜になって樹液をなめに来たノコギリを55匹、ミヤマを29匹捕まえて調べた。
クワガタは夜、エサ場を巡り戦い、片方が投げ飛ばされたり、逃げたりすれば勝敗がつく。捕まえてきた2種を実験用のえさ台におき、戦う様子をビデオ撮影した。
全244戦でノコギリの145勝に対してミヤマが99勝。決まり手では、下から潜り込んで相手を大あごで挟み、投げ飛ばす「下手投げ」が77回。勝者はほぼすべてノコギリだった。一方上から覆いかぶさるように挟み込む「上手投げ」は45回。勝者の約8割がミヤマだった。このほかは、敵前逃亡などで勝負が決まった。
勝敗と体の大小の関連を調べると、大きいクワガタの方が小さいクワガタより1.6倍の勝率だった。ただ、小さいクワガタが勝った約100試合を調べると、勝者はほぼノコギリだった。
本郷さんは「大きく格好良いミヤマクワガタは、案外見かけ倒しで弱いかもしれない」と話している。(長崎緑子)