聖餐 石原慎太郎
昨日に引き続きシンタロー。
いやぁ…これは非道い。
文学的に酷いというのではなく、
内容が極悪非道で残虐そのもの。
昨日、頂いたコメントで知ったのだが、
シンタローは今まで散々暴力的
な小説ばかり書いてきたのに、都知事に
なるや「有害図書の規制」などと抜かし、
有害図書と指定された本の編集者には
反省文らしきものの
提出を義務付けているらしい。
アンタ(都知事)の小説が一番有害だよ!
と誰も突っ込まなかったのか?
この「聖餐」なんて、
今朝、朝食後に歯を磨きながら読んで
いたのだが、日頃好んでB級ホラーばかり
観ている私でさえ嫌気がさしたぞ。
完璧に狂っているとしか言いようがない。
これ、多分誰も読まないと思うので
思いっきりネタバレするが、
主人公は風俗業を営む男、健。
(この風俗店の業態もシンタロー流。
棺桶の中に客を寝かせ、
棺桶の蓋は下半身と顔の窓だけが開いている
状態にする。客は手の自由を奪われた格好だ。
そこに女の子がやってきて、手淫、口淫を
ほどこすという、棺桶プレイ店)
健はある日突然、警察にあらぬ嫌疑をかけられ
即逮捕、起訴された。裁判の間、
かつて健が活躍を期待されていた新進映画監督
だったという過去から、マスコミに元映画監督の
転落人生と書き立てられ醜態をさらした挙句、
猶予付きの有罪判決が下った。
女房と子どもも仕事も、何もかも失った健は、
世間に対する復讐を決意する。
その復讐とは、タイトルもキャストもない
非合法なあるヴィデオを世間に流すことだ。
「俺は奴らの鼻を明かしたい…
俺たちは神になるんだ。奴らの言う、
罪だの何だのを、この俺たち神様が
映像の中で超越して見せつけてやればいいんだ。
それ以上の仕返しがあるか。(中略)
出回ってしまうプリントの一本一本が
奴らの偽善、奴らの嘘をひっぺがす
ことになるんだ」
(注意!ここからは残虐です。
慣れていない方は読まない方がいいです)
どうせハードな
裏ヴィデオを撮るんだろ?と思いきや、
本物のスナッフフィルムを作るのだ。
犯罪歴のある、本物のキチガイを
口説き落として男優にし、女優は身よりのない女を
探し、裏ヴィデオだと騙して出演させる。
いよいよクライマックス。
山林の中で撮影開始だ。
獣のような声をあげながら
激しく体を重ねる男女。
深い快感に溺れ、軽く痙攣する女の
喉をいきなり真横に切る。
激しく吹きあがる血!
あまりにも凄惨な描写なので
少々割愛するが、男が女の腹を裂き、
はらわたを掴みだしてカメラに向かって
ふりまわして見せたりと、
完全に狂っているとしか思えない
場面が続く。
またこれだけではなく、
この後、健の相棒でカメラマンの大津が
カメラの三脚で男優の頭を殴り殺す。
そして男は女のはらわたに顔を埋めて絶命。
健と大津は林の中に男女の死体を埋めて
山を降りる。
これ、めちゃくちゃ有害図書でしょ。
いいのかこんなんで。
読んでみたい方は、幻冬舎文庫で
探して下さい。
1 ■初めまして
いつも有益(?)な書評ありがとうございます
石原慎太郎読んで見ようと思います