ベトナム・インドシナ  2010年12月14日(火曜日)
来年1ドル=2万3千ドンに?:米モルガン・スタンレーが危険視[金融]

通貨ドンは「非常に危うい状態(in extreme trouble)」で、更なる切り下げの危険にさらされている──。米証券モルガン・スタンレーのアジア通貨ストラテジスト、スチュワート・ニューハム氏がこのほどホーチミン市の記者会見で述べたもので、為替レートは来年、1米ドル=2万3,000ドンまで下がる見通しを示した。タインニエン電子版が報じた。

ニューハム氏は記者会見で、◇ベトナムの国際収支の悪化◇弱体化した経済◇恒常的な貿易赤字──が、さらなるドン切り下げ圧力になっていると指摘した。同氏はこうした状況から、ドンが来年、1米ドル=2万3,000ドンまで下落することことが「非常にふさわしい(extremely plausible)」と説明した。

ドンは2008年5月以降、米ドルに対して17%価値を落とし、今年はこれまで5.2%下げた。公式市場では現在、公定レートの下限となる1米ドル=1万9,500ドン近くで、非公式市場(闇市場)では2万1,000ドン前後で取引されている。

■越発で第2のアジア通貨危機?

ニューハム氏は、ドンが2008年以降、危険領域に入っているが、いまだに貿易赤字が解消していないことと、ベトナム国家銀行(中央銀行)の外貨準備高が輸入額の1.8カ月分にすぎないという国際通貨基金(IMF)の発表を取り上げ、「ベトナムは、タイが1997年に経験したアジア通貨危機の二の舞を踏む可能性もある」と述べた。

ニューハム氏は、「輸入で支払いが焦げ付いた場合、誰が支払いを行うのか。中銀しかいない」とし、中銀の外貨が底をつけば、ベトナム経済が破綻(はたん)する事態を示唆した。

なお、ニューハム氏は08年6月にもベトナムの増大する経常赤字と少ない外貨準備、インフレの加速と対比して、当時のドン相場の水準は高過ぎ、ドンが暴落すると予想。またドン暴落をきっかけに、周辺国の通貨にも急落の動きが広まる可能性もあると、「べトナム発」の地域的な通貨・金融危機発生の恐れにまで言及していた。その後、ドンはニューハム氏の予想どおり下落し続けているが、皮肉にもリーマンショックで経済危機を引き起こしたのは米国だった。

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