日本の華僑社会にはこのようなイメージはない。商売は上手だし、華僑同士のネットワークも緊密かつ強力だとは思うが、だからといって、日本経済を裏で支配したり、日本政治に隠然たる影響力を持っているという話はあまり聞かない。
中国式生活を変えず、日本に帰化しようとしないなど中華民族の誇りを守る傾向は強いが、その点はほかの外国人も同様である。むしろ、在日華僑社会は、1世紀以上もの長い時間の中で、徐々に「日本化」してきているのではなかろうか。
日本の「新華僑」
愛国心は桁外れ?(写真は北京五輪の聖火リレーで国旗を振って熱狂する在日中国人)〔AFPBB News〕
先ほどご紹介した書物には次のようなくだりがある。
「横浜中華街に新たに住み着いた中国人の中には、しつこい客引きや目方のごまかしなど、日本では通用しない商売の仕方をそのまま持ち込み、老華僑の顰蹙を買っている者もいるという。今の地位を築くのにかけた150年の苦労を軽く考えないでもらいたい、というのだ」
なるほど、やはりそうかと納得した。東南アジアとは異なり、日本という国は中国人移民が簡単にその商才を発揮できるような場所ではなかったのだろう。
それどころか、あのダイナミックな中国人を徐々に「日本化」できるほど魅力のある先進地域だったのではあるまいか。
今後とも外国人登録を行う中国人は増加し、日本の華僑社会は拡大を続けるだろう。だが、その数の多さやえげつない強引さに恐れをなし、日本どころか世界で通用しない「中国大陸式」の手法を日本に持ち込ませてはならない。
むしろ、これからやって来る「新華僑」たちには、世界に通用する「日本式」手法を教えるべきだ。今の日本人には、彼らを日本の一部として取り込むぐらいの強かさが必要ではなかろうか。
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