しかし、冷静に考えてみれば、外国人登録済みの中国人68万余人に対し、中国人犯罪者は9522人、しかも、その中には外国人未登録者も多く含まれる。
一部中国人の遵法精神の欠如には辟易するが、日本に永住・留学する中国人の大多数は真面目に生活していると信じたい。
なお、最近では中国人による凶悪犯罪がかなり減少し、中国人犯罪の主流は空き巣、窃盗、カード偽造など、より「中国的(?)」なものになりつつあるそうだ。果たして、これが良いことかどうかは分からないが。
東北3省と台湾出身者で4割
外国人登録で中国人がトップになったのは2008年が初。それまで1位だった韓国・北朝鮮人が減り中国人が増えたため(写真は横浜の中華街)〔AFPBB News〕
日本の華僑社会については最近、『日本人は誰も気付いていない在留中国人の実態』(千葉明著)という面白い書物が出た。
様々な最新統計と豊富な実例に基づき、在留中国人の本音を描いた本だ。在日華僑に興味のある方には一読をお勧めする。
同書によれば、日本の中国人社会が東南アジア諸国のそれと最も大きく異なる点はその出身地だという。
例えば、シンガポールの華人社会は福建人(41%)、潮州人(21%)、広東人(15%)、客家人(12%)からなる。東南アジアでは中国南部出身者が主流だ。
これに対し、日本では中国北部出身者が結構多い。2009年の統計によれば、在留中国人の出身地は、遼寧省(16%)、黒龍江省(10.6%)、吉林省(8.3%)の東北3省で約35%を占め、これに台湾を加えると4割を超える。
もちろん、福建省(9.1%)、山東省(9%)、上海市(8.7%)、江蘇省(6.6%)など中国南部出身者も少なくない。しかし、東南アジアにおけるような広東人、福建人、客家人の圧倒的影響力は日本には存在しない。
日本社会に溶け込む在日華僑
以前も述べたように、東南アジア諸国の華人社会は、(1)移住先の国内経済を事実上支配し、(2)独特の中国式生活スタイルや親「大陸」姿勢を変えようとせず、(3)強力なネットワークで隠然たる影響力を維持・拡大しているというイメージがある。
確かに、タイ、インドネシア、マレーシアなどの経済界で成功したビジネスマンの多くは華人だ。シンガポールに至っては、財閥だけでなく、華人中心の多民族国家までつくってしまった。
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