徹底取材

「在特会(在日特権を許さない市民の会)」の正体

いまや日本社会で最もやっかいな存在「ネット右翼」とは何者か

安田浩一 (ジャーナリスト)

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第1回

ルポ・20歳の革命少女

2両編成の筑豊電鉄は起点の黒崎駅前駅(北九州市)を出ると、じきに洞海湾に面した工業地帯と並行するように走り、途中で南に大きく逸れて筑豊方面へ向かう。車窓越しに見えるのは低い山並みと住宅地からなる退屈な風景だけだ。無人駅をいくつかやり過ごし、中間市に入ったあたりで下車すると、駅前から延びる緩くて長い坂道の両脇に、戸建の住宅街が広がっていた。かつては炭鉱町として栄えたというが、往時の面影はすでにない。

それでも、薄れゆく採炭地としての記憶を懸命に守ろうとするかのように、唯一この町で存在を誇示しているのが、町はずれにあるボタ山である。長年の風雨によって形をだらしなく崩し、いまや雑木に覆われた小高い丘陵でしかないが、古くから地元に住む人々にとっては“石炭の栄光”を振り返るべく、もっともノスタルジックな場所となっている。

その荒れ果てたボタ山と向き合うように、県立高校の校舎が建っていた。

Tがこの学校を卒業してから、すでに20年が経過している。

彼は影の薄い男だった。

「おとなしくて目立たない、クラスで最も地味なヤツでした」と、元同級生のひとりは言う。

「友達もほとんどいなかったんじゃないかなあ。いつも、ひとりで行動していた。3年生のとき、確か家出して1週間ほど学校を休んで話題になったこともありましたね。でもそれ以外、彼のことって全然思い出すことができないですね」

私が話を聞いた元同級生たちは、誰もが同じ印象を口にした。

「無口」「物静か」「気が弱そう」

かつての女子生徒のなかには「T? そんな名前の人、聞いたことがない」と、存在そのものを否定する者までいた。卒業アルバムを確認してもらってようやく出た言葉は「ああ、小太りの男。見たことはあるかもしれない」だった。

Tは一時期、生徒会の役員を務めたこともあるが、その事実すら覚えている者は少ない。「生徒会なんて誰もやりたがらない雑用係みたいなものだったから、みんなでTに押し付けたに違いない」と断言する元同級生もいた。

存在感のなさ―その一点のみで、Tは同じ教室で過ごした者たちの記憶の端に、かろうじてぶら下がっているだけだ。

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さあや
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T氏のコンプレックス
Reply #7 on : 2010/12/16 23:17:07
読みました。

ネット発!な報道が増えている中、自らの足で取材したことは評価出来ると思います。
ただ、恐らくT氏が韓国と関わりを持つ発端となったであろう翻訳掲示板のことや、ジェネジャン出演時のことが殆ど触れられていないことに少し違和感を感じました。

しかし、T氏の著書を以前、何冊か読んでみましたが、何か、専門性が感じられず、比較的真面目な大学一年生が、一般教養課程で少し真面目にレポート書いてみたというレベル、という印象で、脱皮出来ていないという感じ・・・大学1年位で中退したか、不本意に専門学校にでも行っていたのかと、勝手に勘ぐっていました。

歴史研究家とか朝鮮の歴史のスペシャリストとかを自称してたり、自らの著書を教科書にして、youtube等で講座を開いたりしている姿を見て、学問の世界に対する、強烈な憧れ(コンプレックス)があるのだろうな、とは思っていましたが、それも氏の学歴に対するコンプレックスから来るものだったみたいですね。
Anonymous
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Re:
Reply #6 on : 2010/12/13 18:18:12
やっかいなのは、「恩恵だけ受けて感謝はしない主義」のあんたがたでしょ。
あへ
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人種差別主義団体在特会
Reply #5 on : 2010/12/12 16:01:42
桜井誠は人種差別するのが大好きなんでしょうねw
G2編集部
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編集部からの回答
Reply #4 on : 2010/12/10 16:19:56
本稿はすべて適性・適法な取材に基づいて執筆しています。
今回の取材で入手した情報は、すべて関係者への取材・不動産登記の閲覧など、合法的な方法で取得したものです。
なお、その旨はすでに「在特会」広報部にも通知済みです。
G2編集部
rey
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Re:
Reply #3 on : 2010/12/09 18:26:46
だから何?って話だな。
ネガキャンなのはわかるが。
ジョー
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Re:
Reply #2 on : 2010/12/08 13:53:10
明らかな個人情報保護法違反!
安田某及び講談社に対する厳正な処罰を要求する!
伊藤泰徳
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「在特会の正体」に期待
Reply #1 on : 2010/12/07 16:14:13
安田浩一氏の書かれた外国人研修生問題について、「国際貢献」の名のもとに搾取される中国人に寄り添ったルポを読み、つくづくわれわれは恥ずべき国の民だと思い知りました。あくまで「虐げられる者」「搾取される者」の側に立つ氏であれば、在特会というこの国のひとつの病理を鋭くえぐってくれるのではないかと期待しています。
プロフィール
安田浩一
Koichi Yasuda
ジャーナリスト
1964年静岡県生まれ。週刊誌、月刊誌記者などを経て2001年よりフリーに。事件、労働問題などを中心に取材・執筆活動を続けている。著書に『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『外国人研修生殺人事件』(七つ森書館)ほか。Twitter ID: @yasudakoichi
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