■太田晴康氏講演録 1997年5月10日PC字幕・要約筆記ジョイント勉強会 |
大変おそくなってすみません。太田といいます。今日は実は明日技術ボランティアの集まりがありまして、その集まりで、こういういわば文字通訳をするために、ボランティアで大阪まできたんですが、せっかく大阪まで来たのでしたら、東京で試みているパソコンを使った要約筆記文字通訳の方法を皆さんにご紹介しよう、とそんなことを思ったわけです。 どうせ紹介するんでしたら今パソコンを使ったいろんな方法がありますから、たとえば今打っているユーラックスという機械を使って字幕をつける試みですとか、それからこのあと発表がありますけども、大阪のUさんが試みられている独特の方法もあります。こうしたいろいろな方法をいっそのこと皆で情報公開しあって、勉強会にしよう、そんなふうな企画になったわけです。ですから僕もUさんの発表は楽しみにしておりまして、勉強するつもりでまいりました。 今日この文字通訳をボランティアでやっていただいている皆さん、ちょっとご紹介します。皆さん、ニフティサーブというパソコン通信に入っていらっしゃいます。そこでテレビに字幕をつけるというような活動をしていらっしゃいます。まずパソコン通信ではハンドルネームと言いまして、いわばニックネームがあるわけですけれども、そのハンドルネームBBさんこと、Yさん。あおんさんこと、Sさん。はまさんこと、Hさん。walkerさんこと、Tさん。りびさんこと、Mさん。今日はBBさんの奥様でみやびさんこと、Sさんもご主人の入力のチェックに(会場笑)。ベストメンバーといっていいかとおもいますが、皆さんよろしくおねがいします。 ちょっと時間が遅れましたけれども、僕のもち時間は2時45分までいただいています。適当に休憩をいれながら進めたいと思います。それから講演会というよりも勉強会、いわば情報交換の場ですから、話の中でなにが質問があったり、あるいはご意見があったときには、手をあげて、ちょっとまて、といってください。「ちょっとまて」ルールです。 |
僕の前にも液晶モニターがありまして、ここですべて打っているものが表示されています。OHPの要約筆記などで、よくスクリーンを使いますけれども、スクリーンが見えないんです。情報を保障するいうのは情報を伝える、いわば、入力者なりあるいは筆記者だけの役割ではありません。発言者、この場合には僕ですが、発言者にも情報を保障する責任があるというふうに考えています。ですから発言者が自分の発言を誰に聞いて欲しいのか、また、自分の発言が聞かれているか、そういったことを意識しないと、この場で音声情報というのは共有されないと思うんです。だから情報を保障するというのは発言者と、それから情報を運ぶ運び手、いわば通訳者ですね。その参加によって保障さるというふうに考えています。それだけではなくて、この画面から情報を得る方、つまり情報の受け手も参加していただきたいと思っています。 というのは、たとえばテレビが見えないとか、それから、うつってないとか、そういう声を出していただかないことには情報はやはり保障されないと思います。ですから、発言者と運び手、それから受け手の3者で、この場の情報を共有していこうという共通理解がないと、なかなか音声情報というのは、それを皆が共有することにならない。そういう考えを持ったものですから、このモニターですね。モニターで自分の発言がどのように聞こえているか、どのように見られているか、確認できる。そうい意味があって、これを今日は使っています。 |
そこで今日お集まりの方にうかがいたいんですが、要約筆記の活動をされている方は何人ぐらいいらっしゃいますか。18人から20人ぐらいですね。では手話通訳の活動をさている方。4、5人。じゃあ、要約筆記という言葉をご存じない方、いらっゃいますか。僕自身は東京で要約筆記活動をしていまして、それと同時にパソコンを使った要約筆記活動をしています。今日は最初のお話になりますけれども、いま東京で実際に講習会を主宰していまして、そこで話しているような内容のことをお話したいと思いす。 パソコンをお持ちのかたは。何人ぐらい。けっこうおおいですね。ワープロも含めるほとんど皆さん全員ですか。じゃあ、タッチタイピング、見ないで入力できるかた。4、5人。すごいですね。タッチタイピングといいますが、むかしはブラインドタッチっていいましたけれど、見ないで打てる方、よろしかったらこちらで参加してください。このシステムは、ワープロでも、通信ソフトがはいっていればこのように映せます。キーボードはものによって違いますが、1台IBMがあいてますのでぜひ。ほかにパソコンをもってきてるかたは。あ、そうですか。あとでつないでみましょう。 |
じゃパソコンをだして、うってみてくれます?(会場笑)電源コードはあまりはありますか?(あります)コンバータをもってきてないので、とりえず立ち上げていただいて。じゃ自分でやって・・・。テーブルタップだけ。では接続しながら聞いてください。東京で要約筆記の講習会というのが開かれていますけれど、それを卒業された方が、こんなことを言っていまして、それは、要約筆記をしているんだけれども、利用者がOHPを見ていないというんです。利用者は手話をみていた。その新人の方は利用者が見ていないんだったら、自分はOHPを使わなくてもいいんじゃないかというようなことを言っていました。で、情報を保障する方法というのはいろいろありまして、OHPもありますし、もちろん、手話通訳もあります。それから隣に座ってノートテイクという方法もあります。それから磁気ループという方法もあります。もちろん補聴器もあります。つまり、情報を保障する手段がたくさんあるということだと思うんです。 |
そこで、難聴と一口にいっても聞こえの程度は人によって違いますし、それから、どういう情報の保障手段がふさわしいかというのは、やっぱり人によって違います。ところが、OHPを書いていて、自分の活動だけに頭が集中しますと、他の情報保障手段が、ある利用者にとっては便利なんだいうことを忘れがちになると思うんです。ある方は高性能な補聴器を早く開発してほしいと考えていると思いますし、ある方は手話通訳を養成してほしいと希望されていると思います。たまたまOHPを見ていなかった状況というのは、その利用者が情報を手話から得ていたわけです。そうしますと、OHPを担当する人も、それから、手話通訳も自分の情報の保障の特徴と言いますか、どういうところを利用者が活用しているか意識しないといけない。そんな時代になっているような気がするんです。なかなか自分の方法を意識するというのは難しいことでして、僕も今、OHPを使ったり、時にはノートテイクをしたり、それからパソコンを入力したり、いろいろな活動をしています。 |
パソコンを使って入力しますと比較的速く、打てるもんですから、音声を書くよりもたくさん表示できます。僕の場合で、書く場合、いちばん速いスピードでも1分間に80字ぐらい。パソコンをうつときには僕はローマ字入力ですけれど、1分間で150字ぐらいです。話すスピードというのはよく言われるのは、NHKのアナウンサーを例にとりますけど、1分間で350字ぐらいだそうです。活動してると、あまりこういうことは実際に計らないと分からないんですけど、自分の情報がどんなふうにつたわっているか、そこに限界があれば、どういうふうに伝えるべきかというようなことも意識せざるをえない。そんなふうにおもいます。 で、僕は利用者の声というのが非常に大事だと思うんですが、初めて、こうしたTV画面を見たかたは非常に感動されます。それは、まあ第一印象ですよね。ところが、2回、3回とこうした方法を使ううちにこうしてほしい、という希望がでできますね。そういう声を情報を保障する担い手である僕等が拾い上げていかなけばならないと思います。いま東京のある大学で授業で情報の保障をしていますけれど、その方法というのは、ノートパソコンに入力して、隣に利用者がすわって画面を見るという方法です。それがどういう意味をもっているかということを利用者にアンケートなどを通じて、きくようにしています。その声のなかには、たとえばですね、1時間ぐらいで目が疲れるという声があります。それから、日常単語が多ければ1時間ぐらいは大丈夫だ、と。専門用語がたくさん出てくると1時間でもつらい。という声がありました。 |
考えてみますと、僕等でも専門書を読むと疲れますよね。で、たとえばシドニー・シェルダンという作家がいますが、あの本などは、それこそ一晩で読んじゃう。つまり、書き言葉というのは書かれた文字とか、書かれた内容で、かなり頭と目が疲れる場合があるというこです。そういうことも利用者の声をきかないと僕なんかはわかんなかったわけです。それから、手話通訳と文字通訳の役割をどういうふうに分担してほしいですか、と聞きますと、たとえばですね。討論とかゼミとか、よりリアルタイムな臨場感を得たい時は手話通訳が欲しいという声がありました。それから講演とか講義など情報が一つの方向から発信される、そういう時は文字通訳がいい。そういう声があったわけですが、これも一つの意見です。利用者の必要性及びニーズというのは一人一人違いますので、その都度、その利用者がどういう情報保障手段がふさわしいのかということを、担い手が意識しないと、どうしても、情報を保障していると言いながら、一方通行的な活動になってしまうんです。一方通行になりますと、さっきお話ししたように、OHPを利用者が見ていないから、OHPはいらないでしょうという発言になってしまうわけです。ところが今、僕が大学の授業でパソコンを打ってますが、つまり、先生の声を入力しているわけですね。カタカナの言葉がでてきます。 |
ところがそのカタカナを指文字で表現しますと、理解するのが難しいときがありますよね。とくに初めてきく名前は難しいです。そうしたときに、たとえば手話通訳の方が指文字をしながらでね、OHPを指し示す。そのときに、OHPに文字が書かていれば非常にわかりやすいわけすね。ですから、手話通訳を見てるからOHPはいらない、ということではなくて、手話通訳と文字通訳の連携が必要になっているということだ、と。ですから、意図と成果とは、ときどき、離れることがありますよね。つまり、よいことをしている、でも、役立っていない。良い意図が良い成果をもたらすとは限らないわけです。 でも、えてして、良い意図をもってると、成果も良いものだと思いがちだと思います。だから、せっかく良いことをしているのに、という意識は、ときどき邪魔になりますね。つまり、ニーズという言葉がありますが、その利用者が何を必要としているかというニーズ、それは非常にパーソナル、個別的なものでして、そうした個別的なものに応えるサービスの視点、そういうものをもたないと要約筆記も手話通訳もえてして、良い意図という影にかくれて、実は役立っていないということもあると思います。 そこで、利用者の声をどうやって拾っていくかということになるわけですが、最初から利用者がこうしてほしい、といってくれれば、らくなんですが、レストランのメニューのように、このカレーライスがほしいといってくれればラクなんですが、初めてある方法をみたときには、それを評価できないんですね。 |
例えば、こうした今やってる方法を初めて見た方は?結構いらっしゃいますね。どうですか?感想は。 (なんか、きれいに活字がそろってるので読みやすいです。文字がまとまっているというか、プリントなどで読むよう。行がきれいにそろっているので読みやすい) 隣のかた? (ロールですとその人のくせがあるじゃないですか。ときどきわかりづらい字もあるんですけど、ここでしたら読みやすい。要約筆記ですと、その人の癖があるので) |
手書きだと癖がある、なるほど。で、初めて見たときのその感想と、それから10回ぐらい体験したとの感想がまた違ってくるんですね。そこが大事でして、僕が試みている方法というのはまず利用者にいろいろな情報保障の手段があるというメニューを提示して、それを選択していただく。つぎに、自分で決定していただく。3番目に、評価していただく。つまり、選択と、自己決定と、評価。この3つがあって、初めてですね。利用者が、その情報の保障システムを活用したことになると思うんですね。この3つの順序があって、2回、3回とその方法を経験するうちに、同じ選択でも積極的な選択になっていきますよね。たとえば自分は手話通訳が一番欲しい、だから、手話通訳がよく見える場所に移動するとか、あるいは、主催者にですね、手話通訳をもっと増やして欲しいというような、同じ選択でも、積極的な選択をするようになると思う。そして決定するときも、非常に主体的な決定というんでしょうか、積極的に発言することになります。3番目の評価というのも、その方法を繰り返し、経験するうちに客観的に評価できるようになると思うんですね。ですから、選択と決定と評価、というサイクルを繰り返すことによって、いろいろな情報手段のなかから、なにがふさわしいか、活用することができる。そんなふうに考えています。ですから、それがもしかすると、自立の一つの形かもしないと思います。 |
今年の3月にサンフランシスコの福祉局のかたとお会いしたんですけどその方は、電動車椅子をつかってました。彼が自分で運転する公用車は車椅子対応のバンでした。車に近づいて、外側のあるボタンをおすと、階段がおりてくるんです。そこに車椅子をおいて自動的に中にはいって、そして運転席までいける。その車を、駆使して案内してくれたんですけども、その彼がですね。自分は自立をこんなふうに考えているという話をしてました。それは、普通の人だと、15分ぐらいでできる動作、たとえば朝おきてから会社にいくまでの動作を自分がたった一人でやろうとすると2時間かかる。それは、自立とは思わないと彼はいってました。 では自立とは何かというと、普通の人が15分でできる動作を、自分も、人の手をかりて15分で済ませる。そして、働きに出る。残りの時間を働くことに使う。それが自分の考える自立であると言ってました。ですから、利用者がいろいろな情報保障手段を積極的に選択できるということは、ある一つの手段に固執するんじゃなくて、いちばん自分がすばやく情報をえる、そういうような方法を積極的に探していただくということです。そんな道を作っていければと思っています。ですから、パソコンを使った要約筆記、ときには手書きの要約筆記、それから手話通訳、たくさんある手段を提示したいと思います。 ところが、なかなかパソコンを使った入力の担い手が少ないもんですから、東京で講習会を去年の10月からはじめました。で、どういうようなことを教えているか、勉強しているか、ということを簡単にお話ししたいと思います。話しはじめて50分くらいたちましたけど、休憩とります?じゃあ、5分休みましょうか。5分間、休憩にしましょう。アンケート、書いてくださいね。 はじめまーす。あと30分ほどですが話を続けます。このぐらいでいいですか?聞こえます?一番後ろの方いいですか? |
(ちょっといいですか。あそこのノートパソコンがありますね。今、7人でやってますが、役割的なものはどうなってるんですか。そういったものを説明してもらえませんか) 詳しくは3番目の発表でありますがBBさん、簡単に役割をおねがいします。 BB:いま入力している人たちは今は、日本で一番速いひとがうってますので他の人はほとんど遊んでいます。ゆっくり喋っているときは、これで間に合いますので、まあずっとダブらずにうててますけども、講演者によっては非常に早くしゃべる人がおられますので、そういうときは、総がかりで打ちますから、行がだぶることがあります。役割というのは、今の説明でよろしいですか。 |
太田:速い、しゃべりのケース、テストしてみます?じゃあ、準備ができたらキューを出してください。じゃあ、はじめますね。僕自身もふだんはパソコンを使ってこのくらいのスピードでしゃべっています。要約筆記のパソコン要約筆記の五つの原則というのがありまして、まず、一つ目がまず最大限多くの音声情報を入力する。二つ目が、視覚情報として見やすい表示。3番目がすばやく入力操作する。4番目が、正確に利用者に伝える、5番めがそのまま伝え価値判断を加えないということです。という感じ。今の表示で、矢印とかは使わないの?今は3人が打ちました。どんなふうに打ってるかをちょっと説明しましょうかね。いまこの僕の言葉をりびさんが打ってます。で、それがまあ、交代でうちますが、仮にですよ、僕の言葉をりびさんが拾えなかった時に、おとなりのはまさんが拾ってます。いま、はまさんが打ってます。女性ですね。ですから、りびさんとはまさんのコンビでお互いに頭のなかに僕の話を記憶しておけば片方が遅れだしたとき、あるいは変換に時間がかかって表示がでにくい時に、片方が打ってその文字を表示することができます。その結果として、この画面に出てくるのは誰が打ったか分からないんです。そういう方法があります。そういう特徴があります。なにか質問がありますか?はい、どうぞ。 |
(先程の話の中で文字の字幕を見らる方が一時間ぐらいで疲るという話があったんですけど実際に入力されている方は限界というのはどくらいですか。やっぱり疲れると思うんですが) 僕の場合ですと、そうですね、1時間半、打ったことがありますけど手が痛くなりましたね。普段活動している時には、僕は10分交代で交代します。そちらの皆さんはどうですか。疲労の点で、どなたか代表でこちらで発言してみてくれます? M:むちゃくちゃ、早くしゃべったりして。えーと、さっきの専門書の話なんかと同じになると思うんですが、難しい内容でやたらに早くしゃべられる講演者というのが世の中にいらっしゃいます。そういう場合だど、やっぱり15分か20分ぐらいですか。一回1時間半、打ち続けたことがあるんですが30分ぐらいでガソリンがきれます。そのあと、なんとかやってると20分ぐらいしてから、またエンジンがかかりはじめるんですが、続けてやってると波がでできますし、字幕のほうにも誤字が増えるとか、ミスタイプが増えるとか、じっさいの所はこういう便利な機械があるので交代しながらお互いに補いながら、メインの入力者は交代交代でやっていくと、その交代時間が10分交代か15分交代ぐらいが現実的なところだと思います。お答えになっていますでしょうか?いいですか? |
太田:と、いうことです。はいどうぞ。 (音声をパソコンで字に転換するソフトというのが雑誌なんかに載ってますね。どのような性能があるんですか。もし試した経験があるなら) どなたか。音声認識ソフト、ためされたかた。えーと、体験者はいないようですね。自動的に音声を認識するソフトですね。すいません、不勉強で。 (すみません、いいですか。京都のほうで要約筆記してるんですけども、いま打ってらっしゃるのは、単語登録は?単語登録とか全然なさらないで、全部打っているのですか) (そうです。) (大変だな、と。ひらがな入力とかローマ字入力とかあると思うんですが) (メインの二人は富士通の親指シフトです) (そうですか。分かりました) (それから、せっかく何人もやってらっしゃるわけですから、さっきの「機会」を「機械」に修正してくれるひとがいたら、うれしいんですけど) いわば校正する人ですね。あ、やってみようか。校正の矢印。いまちょっと見本をみせますね。たとえば、記者が汽車で帰社した。 (あっ、あってる) 間違えるかと思ったんですがワープロソフトがすばらしい。もう一回。 「記者が帰社で帰社した」。いま、表示されていますね。 ↑帰社で→汽車で こういう方法がありますね。それからソフト自体が修正を受け付けるそういうソフトもあります。そういう場合には校正されたものを表示するようになっていまして、多少表示は遅れますけども、ほとんどすべて正確に出ます。他に質問ありますか。 |
(すみません。初歩的なんですけど、ユーラックスというものを使ってというふうにおっしゃいましたけれども、わたしがやるとしたら、ノートパソコンと、なにを購入すれば?) 一番基本的な情報保障システムとしては、パソコンがあって、それをのぞいてもらうというものですね。隣に座って。次に、そのパソコンの外部ディスプレー端子からケーブルを伸ばして外部ディスプレーに接続する方法もある。たとえば、こういったものです。あるいは、パソコンの外部ディスプーでテレビモニターに接続する三つ目の方法として、ふつうの家庭用のTVを使う場合、家庭用のテレビのビデオ端子にパソコンの信号をつなぐわけですが、そのままでは信号が違いますから、その間にスキャンコンバータという機械をはさみます。この機械がだいたい2万円とか3万円ですね。次の方法としまして、いまここでやってる方法、つまりユーラックスという機械に集中的にパソコン信号を入れて、そして、ユーラックスからスキャンコンバータに信号を流して、スキャコンからTVに映す方法です。ユーラックス分の値段が加わりますが、定価でいくらでしたっけ。ユーラックスは定価10万です。パソコン、ユーラックス、スキャンコンバータ、モニターです。 |
(そだけあったらいけるんですね?ありがとうございました) (今日の話のなかで、話も重要ですが、モニタを見ていて思ったんですが、とてもじゃないけど最初の印象として、感心しました。我々には無理だなあ、と。たぶん、日本一の方だからできるんだ、と。これを広めようと思ったばあい、講演者にも協力いただくとかこれなんかも大きなツールだと思うんですけれども、そういうことも含めたのも必要ではないか、と。講演なさるかたが、私も今ぜんぜん考えずに、話させていただいてますが抵抗感をもたれる人がけっこういらっしゃるのか、そのあたりのことをお願いします) |
OHPでも同じですよね。OHPそのものを拒否するかたはいません。手話通訳を拒否したひとがいますね。邪魔だって。それから、テープ録音はしないでほしいという主義のかたもいるようです。それらは、特殊だと思いますけれども、こういうモニター方式でも難しいところがあって、なにかといいますと、人間の話す速度と考える速度っていうのはどうもリンクしているようですね。僕はまあ馴れてきたので、このくらいのスピードでも話せるんですけど、普段早口のかたにゆっくり話せというのは、無理ですね。ですから、モニタの意味というのは、ゆっくり話させるということじゃないんですね。むしろ、自分の言葉がどのように伝わっているかを自分で知るという意味があるとおもいます。それから、ゆっくり話すと、考えがまとまらなくなるってことはありますけども、OHPを使う場合でも同じですが、ところどころ間をあけながらしゃべるというのは比較的誰でもやりやすい方法だと思います。つまり、いきなりこうやってゆっくりしゃべるんじゃなくて、ペラペラと早口でしゃべる。その後、ちょっと間をおく、つまりセンテンスとセンテンスの間にちょっとでも間をおく、そうすると手書きの方も入力者も楽ですから、そうした方法でお願いしますと、協力を求めることもあります。しかし、最初に言ったように、まだまだ理解というのが難しいという状況があります。あと5分ですが質問をどうぞ。 |
(こんなに早くて、びっくりしてるんですけれども、障害というのはおこらないんですか。大丈夫ですか?) 大丈夫みたいですね、あの方々は。(会場、笑) (うちは家族に聞こえないものがいるんですけれども、テレビ放送があって、それでこっちで何とかして、こっちが打つとテレビに文字が出るというシステムは。打ったものがテレビに文字としてでるという方法はあるんでしょうか) ひとつの方法はですね、パソコン通信で、TVに字幕をつける運動をこの方々がやっています。それは、電話代はかかりますが、ある特定の番組をみるときにパソコン通信の画面を自分のコンピュータにつないでそのコンピュータをTVの横におけばセリフが文字ででてきます。そういうボランティア活動をやってます。それから、いまおっしゃったTVの中に字幕を入るという方法ですが、字幕番組は別としまして、家庭で字幕をつけていくというのは、いまパソコンのほうでテレビが見れるという機種があります。それを買えば、テレビ画面とパソコンの画面とを一つの画面に両方をうつすことが可能です。具体的にやったことはないんですが詳しい方、どなたかいらっしゃいます? |
(マックだったらできるでしょうけれども。マッキントッシュの中にTV画面を入れて親がうつんでしたら、ワープロの画面を下のほうにつくっておけば、打った文字が表示できますからテレビ見てて表示できるという状態です。それはマッキントッシュ内にテレビを取り込むソフトが必要ですよ。えーと、マックで標準で持ってる機械も売ってます。うちにあるのがそうなんですけど、ビデオとかテレビとかも見れるっていうマックなら通常、アンテナ線をつなぐだけで見えます。で、TVチューナーが入ってるマックがあります) よろしいですか? (はい、ありがとうございました。いま、テレビで二つの画面をうつせるのがありますよね、同時に違う局をスキャンコンバータにつないで片方に字幕をうつすということはできるんでしょうか) 僕は分からないけども・・・原理的にはどうなんだろう。二系列になっていればできるけどもメーカーの方にきいでいただいたら。 |
(講演者が手話で講演される場合、音声通訳がついて、それを聞き取って、要約筆記でOHPにあらわすということがあるんですけども。それをたとえば手話がよく分かる聞こえない人が、手話をそのまま読み取ってパソコンでうつというのは可能かどうか) 実際に僕のしってる範囲ではいらっしゃいませんけれども。 (一人いますよ) そうか。Sさんはやってるんだ。 (テレビで星の金貨というのがありましたね。それで、彼女の手話をわたしが読み取って入力するということがありました。わたしは手話は上手とはいえないのですが、難聴で手話がわからない人に通訳することはできると思います) 東京で開いている講習会ではろうの方も参加されていまして、その方はタッチタイプができるんです。その彼に言わせますと、手話が分からない友達に通訳したいとおっしゃってましたね。ですから僕はそれを初めて知ったのでおどろいたんですけれども、つまり要約筆記というのは、健聴者だけのものではないということなんですね。他に質問は? |
最後に一言だけつけくわえたいんですが。というように時代は変わって来たわけです。といって手書きの要約筆記がいらないということではないと思うんです。利用者によってはよく読み慣れた手書きの文字がいいという方もいらっしゃいます。それから東京では年間600件の要約筆記活動が行われています。年間600件です。それでもまだ個人派遣、個人的に派遣して欲しいという声がでていますね。ところがパソコン入力活動をしているのは東京でも7人しかいません。ですから、先程申し上げましたように、いろいろな情報保障手段の担い手をまず増やしたいというのが僕の気持ちなんです。 |
そのためには、サービスを必要とする地元でですね、サービスの担い手が育つ、そして必要に応じてそのサービスを提供することがいちばん大事だと思うんです。ですからそのために、その一つの方法として、今回の勉強会も開いたわけですが、いろいろな情報保障の手段があってもこうした勉強会ですとか、情報交換の場がなけばそれぞれが孤立したままです。ですから、アンケートの最後にお名前と連絡先を記入する欄がありますけれども、これからもこの地域、つまり関西地方、あるいは大阪で、あるいは京都で、というように、その地域でこうしたいろいろな情報保障の担い手がゆるやかなネットワークを作っていく。そういう試みが一番必要とされていると思います。ですからぜひ、みなさんも地域にかえられて、ある人は手書きで頑張っていただき、ある人は手話でがんばっていただき、そしてパソコンも練習していただいて、そして時々情報交換をしていく。そのうちに、大きな大会が近づいてくれば、その大会目指して、どういう情報の組み合わせで、どんなふうに担い手を育ててサービスを提供するのがいちばん効果的かということを、地域で考えていただきたいんですね。 行政の制度を待っていても、待っているだけではダメです。ですからぜひボランティア活動として、ゆるやかなネットワークを作って、そして地域で勉強会なり、あるいはサークルなり、ゆるやかでいいので組織を作って、そして音声情報を共有する。そういう環境の整備の手助けをしていただきたいと思います。そんなお願いを最後にして僕の話は終わります。 copyrighit(C)太田晴康 掲載許諾済 |