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【菅政権考】言葉の軽さ 抜けない野党気分 (1/3ページ)
鳩山内閣、菅内閣と2代の民主党政権の没落を見るにつけ、政治家の言葉の重みを思わざるを得ない。ともに、野党時代の無責任な発言や、野党時代なら見逃された失言が政権を窮地に追い込んだ経緯があるからだ。
◇「仮免許だった」で免責?◇
「菅直人首相は就任当初、自分が何気なく発した言葉の影響力に戸惑っていた」
菅首相(64)の周辺はこう語る。首相は就任間もない6月に突如、中身を詰めないまま消費税率上げに言及し、参院選大敗の要因をつくった。だが、これも野党時代なら、1つの問題提起で済んだ話だったからだ。
30年以上の議員歴を持つ政治家がこんなナイーブな発想では困るが、これが日本の実情だ。そして、その野党気分はまだ抜けきっていない。
「首相に就任し、今までは仮免許だった。これからは本免許。これから本領発揮で自分のカラーを出していきたい」
首相は12日、支援者との会合でこんなあいさつをしたが、これはいただけない。
菅政権発足後、沖縄・尖閣諸島沖では中国漁船衝突事件が起こり、ロシア大統領は北方領土を訪問している。また、円は高騰し、大卒予定者の就職内定率は過去最低を記録しているが、これらは「仮免許だったから」では済まされない。
国民としては、「そんな車には乗りたくない」(自民党の石原伸晃幹事長)のは当然だ。
実はこの「仮免許」という比喩は、首相がかつて野党時代に好んで使ってきたものだ。2008(平成20)年9月の麻生内閣発足時には、記者団にこう述べている。
「いずれにしてもそう遠くない時期に解散・総選挙だから、仮免許内閣ということだ」
また、08年10月の記者会見でも「解散で信を得たとき本物の内閣になる。仮免許が本免許になる」と語り、麻生太郎首相(70)に早期の衆院解散を促している。
菅政権は、まだ衆院解散で国民の信を問うていない。かつて得意になって用いた言葉が今、ブーメランとなって迫って来ている。