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米スティール:サッポロ買収断念 保有株式売却、6年の攻防に幕

 米投資ファンド、スティール・パートナーズが、保有するサッポロホールディングス(HD)の株式をすべて売却していたことが16日、分かった。スティールは08年秋のリーマン・ショックを機に日本株の売却を進めており、「サッポロ買収戦」からも撤退する。約6年間にわたる両者の攻防は幕を閉じた。

 スティールなどが16日、関東財務局に提出した大量保有報告書によると、スティール本体が保有するサッポロ株3045万株を15日までにすべて売却。関係するファンドが0・15%を保有するだけになった。売却代金は110億円規模と見られる。スティールは「個別銘柄の売買はコメントできない」としているが、金融危機で損失が膨らんだのに加え、サッポロの株価伸び悩みを踏まえ、これ以上利益を上げるのは難しいと判断した模様だ。

 スティールによるサッポロ株保有は04年10月に表面化、07年2月にはサッポロに対して株式の公開買い付け(TOB)による買収を提案した。これに対し、サッポロは買収防衛策の発動をちらつかせるなど対決姿勢を強め、事態は足踏みしていた。

 スティールは09年2月、サッポロの株価下落などを受けて買収提案を撤回。一方で、今年1月には経営陣刷新を求める株主提案を行うなど、経営への関与を強めようとしたが、3月の株主総会で提案は否決。スティールは戦略の手詰まり感を強めていた。

 スティールは一時、サッポロ株の約19%を保有するまで買い進めたが、今年10月には保有するサッポロ株式の一部(4・6%)を売却。今月9日にも追加の売却に踏み切ったことが判明し、持ち株比率は7・73%まで低下していた。サッポロは「今後もさらなる企業価値の向上に取り組みたい」としている。

 スティールは07年、ブルドックソースにもTOBを仕掛けたが、ブルドックの買収防衛策発動で失敗。防衛策の適法性を巡り法廷闘争に発展したが、ブルドック側の勝訴に終わり、08年3月末までに保有するブルドック株をすべて売却した。現在はかつら大手のユニへアー(旧アデランスホールディングス)の株式などを保有している。【井出晋平、太田圭介】

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 ◇サッポロ買収攻防戦の経緯

 <04年>

10月 スティールによるサッポロ株の大量保有が表面化

 <07年>

 2月 スティールが、サッポロ株の66.6%取得を目指し買収提案

 <08年>

 1月 サッポロが第三者委員会に買収提案の評価を諮問

 2月 第三者委員会が「買収提案は企業価値を損ねる」と判断

    サッポロが提案に反対を表明

 <09年>

 2月 スティールが提案撤回

 <10年>

 1月 スティールが経営陣刷新を株主提案

 3月 株主総会でスティールの株主提案を否決

10月 スティールがサッポロ株の一部(4.6%)を売却

12月 スティールがサッポロ株の一部(5.25%)を売却

    スティールが保有するすべてのサッポロ株(7.73%)を売却

毎日新聞 2010年12月17日 東京朝刊

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