顔面打撲など全治約4週間の診断書を持つリーダー格男性が、被害届の提出をためらっていた理由が明かされた。
藤本弁護士は都内で取材に応じたほか、マスコミ各社にファクスを送付。リーダー格男性(ファクスでT・I君とイニシャルで表記)の考えを文書で明示した。
それによると、リーダー格男性は、元暴走族の後輩で、妻と双子がいるリオン容疑者の刑事処分を心配。「法的に決着をつけるということではなく、円満な方向で解決に向かうことを望んでいる」と海老蔵と同容疑者の間の示談を希望した。
これまで藤本氏らは、海老蔵側の深沢直之弁護士(65)が民事介入暴力対策の専門家であることを考慮。「海老蔵さんとリオン容疑者の示談の可能性は低い」とし、加害者側との食い違いが多い海老蔵側の主張を崩すため、リーダー格男性に被害届の提出を促してきた。
だがこの日、藤本氏は「男性の意向を尊重したい」と被害届を提出しない意向を表し、事件について「単なる酔っぱらいの喧嘩」「示談が双方にとって好ましいと思う」とした。
日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏(76)は男性が被害届を出さないメリットについて、「リオン容疑者の弁護士と海老蔵さん側が接触しやすくなり、示談の可能性が高まる」と指摘。示談は「示談金が発生する場合と、謝罪などで済むケースがある」という。同氏によると、示談が成立すると、リオン容疑者は略式起訴で罰金刑になる可能性が高いという。
そうなれば、裁判を避けることができ、事件の詳細について一切供述したがらないリオン容疑者にとって、プラスに働き、リーダー格男性の願い通りになる。
一方、被害届を出され、“加害者”として取り調べを受ける可能性がある海老蔵にとっては朗報だが、示談を受け入れるかどうかは不明で、今後の見通しはまだ流動的だ。