(CNN) コソボのサチ首相を含めセルビアからの独立を求めてセルビア国軍と戦った「コソボ解放軍(KLA)」の関係者が当時、戦争捕虜などから摘出した臓器を移植用に海外に持ち出していた疑いがあることが、欧州審議会の新たな報告で指摘された。
報告は欧州連合(EU)関係者らの調査などに基づくもので、欧州審議会法務人権委員会のディック・マーティー氏が執筆した。同氏は、不法な臓器密売は紛争終結後も続き、紛争中に失踪した1900人近くの行方が依然わからないうえ、北大西洋条約機構(NATO)軍が当地に入った1999年6月以降、さらに500人が行方不明になったと指摘している。一部のKLA指導部は今日も別の形で犯罪行為に関与しているという。
サチ首相はKLA創設者の1人であるが、報告では同首相が、隣国アルバニアの敵対者から不法犯罪組織の支配権を奪ったとみられるKLA一派の「ボス」だったとしている。
この報告に対する首相府からのコメントはない。コソボ政府は、報告は「真実ではない」とし、コソボとKLAのイメージを損なうために作られたものだと反論。サチ首相を支持するクラスニチ大統領代行も、ねつ造された無責任な報告だと怒りをあらわにした。
報告は16日に、民主化と人権保護の推進を目的とした47カ国で構成される欧州審議会の委員会で取り上げられる。1月には同審議会の議会での検討も予定されている。
コソボは2008年にセルビアから独立を宣言。約70カ国が独立を認めたが、セルビアは認めていない。住民の大半はアルバニア系で、セルビア系住民は少数派。