政府が17日に閣議決定した今後5年間の防衛力整備方針を示す中期防衛力整備計画(2011〜15年度)は、南西諸島に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新たに配置する方針を明記した。航空自衛隊那覇基地では現在の1個飛行隊から2個飛行隊に増強する。中期防には明示していないものの、陸自は南西諸島で最大2千人の増員を想定している。
中国は東シナ海などで軍事行動を活発化。沖縄県・尖閣諸島をめぐり領有権の主張を強めており、ガス田「白樺」の単独開発を進めている。こうした中国の動向に対処して監視と警戒を強化する狙いから、周辺地域での防衛力を拡充する方針を打ち出した。
南西諸島では移動警戒レーダーを配備するほか、空自三沢基地(青森県)の早期警戒機E2Cが必要に応じて即応できるよう受け入れ態勢を構築。部隊を迅速に展開させるためのヘリコプター搭載護衛艦の整備を進める。
海上自衛隊は潜水艦を増強。部隊能力を向上させるために機動展開訓練を実施する。陸自は11年度に地対艦誘導弾ミサイル(SSM)18基を導入。5年間で全国に100基超を配備し、南西諸島に重点的に振り向ける構想を練っている。
ゲリラや特殊部隊による攻撃、サイバー戦、弾道ミサイル発射に対応する方針も明示。複数の事態が連続的、同時に起きても迅速に対応できる態勢を整える。