内部告発した教師を追い出した学校、役員全員が退任!?
私立高校の不正について内部告発し、解雇された教諭がソウル市教育委員に当選し、この教諭を追い出した学校の理事らが全員退任を余儀なくされるという、奇妙な出来事が起こった。
2008年5月、私立陽川高校の国語科教諭だったキム・ヒョンテ氏(45)は、学校の役員らが給食費を横領したり、工事費を水増ししたほか、架空の同窓会費を計上して会費を徴収するといった不正を働いたという情報を、ソウル市教育庁に提供した。
ところが、キム氏はとばっちりを受けることになった。キム氏が後に調査したところによると、教育監(教育長に相当)選挙を控えたソウル市教育庁が、私立学校の不正が問題化するのを避けようと、「警告」や「注意」程度の軽い処分にとどめて、「臭いものにふた」をしようとしたためだという。学校側は「非公開の文書を外部へ流出させた」という理由で、翌年3月にキム氏を解雇した。
キム氏は教育科学技術部に審査を請求し、昨年6月に請求を認められ復職したが、わずか五日後、今度は「学校の品位を傷つけた」として解職した上で、再び解雇とした。ソウル市教育庁やソウル南部地検の前で、一人でデモを行ったキム氏は、今年6月のソウル市教育委員選挙(統一地方選挙)に出馬し当選した。選挙区は陽川高校がある第5選挙区だった。
その後、状況は逆転した。今年3月から4月にかけ、孔貞沢(コン・ジョンテク)前教育監をめぐる汚職が発覚したのに続き、9月には私立小学校での不正も発覚し、教育界の不正に対する大々的な監査・捜査が行われた。ソウル南部地検は7月、陽川高校に対し家宅捜索を行い、給食費5億7000万ウォン(約4150万円)を横領した容疑で理事長を在宅起訴した。さらに今月16日、ソウル市教育庁は同校の役員8人に対し、役員就任の承認を取り消す処分を下した。
キム氏は「最初に問題提起をしたとき、学校内部で解決を図っていれば、また教育庁に告発したとき、きちんと監査を行っていれば、このように長い道のりを歩むことはなかったはずだ」と語った。
呉允煕(オ・ユンヒ)記者