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事業再仕分けの意味

2010年12月17日0時1分

 11月中頃、民主党政権でただ一つ国民的な支持を受けているといってよい事業仕分けの第3弾が終了した。当初意気込んだほどに収穫はなく、国民の関心も第1、2弾ほど高まらず、当初の役割は終えたと思われる。今般、事業再仕分けが実施されたが、この「再仕分け」こそがこのプロジェクトの限界を示したといえよう。

 なぜ、再仕分けが必要だったのか。第1、2弾の事業仕分けで、「廃止」「見直し」「縮減」などと格好良く判定しマスコミの関心を集めても、それがどれだけ実際の予算編成に反映され、実施に移されたのかまったく不明であった。まさに再度チェックを必要としたわけだ。裏を返せば、その大半が無視され、「看板付け替え」「焼け太り」「勝手に先延ばし」などに衣替えし、概算予算に計上されていたことを物語っている。このために第3弾では約110事業を対象に、第1、2弾の成果が検証された。このような過去の成果の検証つまり「再仕分け」をせねばならないとすると、これまでの民主党の鳴り物入りの事業仕分けは何のためであったのか。

 そもそも事業仕分けには、何の法的な裏付けもなく、従って拘束力もない。だとすると、いくら廃止だ、見直しだとテレビ用の黒板に記載されても、したたかな官僚が唯々諾々と受け入れる気にはなれないであろう。それに今回は、民主党の編成した予算を巡って仕分け人も、仕分けされる側の政務三役とウチゲバ的に対峙(たいじ)せねばならなかった。第1弾の時のように、仕分けの対象に祭り上げるべき前政権のいわゆる「ムダ」は姿を消してしまっていた。もはや事業仕分けも、再仕分けもする意味はない。(安曇野)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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