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最終更新:2010年12月17日(金) 0時30分

沖縄 米軍基地の跡地利用問題

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 17日、菅総理が沖縄を訪問します。普天間基地をめぐって、地元の理解を得るためなのですが、基地問題の難しさを垣間見せる土地があります。那覇にあるアメリカ軍施設です。東京ドーム12個分ものこの土地。実は35年以上も前に日本への返還が合意されながら、いまだに戻っていません。そこに一体何があるのでしょうか。

 今年7月。私たちはある人物とともに沖縄にいました。普天間問題に長く携わった守屋防衛庁事務次官。現在、収賄などの罪で服役中です。収監される前、最後に訪れた沖縄の地で私たちに見せようとしたものとは・・・

 「那覇港湾です」
Q.アメリカ軍用地?
 「基地です。ほとんど使っていないでしょう」(守屋武昌元防衛事務次官〔今年7月〕)

 アメリカ軍が管理する「那覇港湾施設」です。東京ドーム12個分(56ヘクタール)というこの施設の運用のため、国から土地の所有者に年間20億円もの借地料が払われています。実はこの施設、35年間以上も前に日米両政府で返還をしていながら、いまだに返還が実現していません。一体なぜなのでしょうか。

Q.自腹で跡地の開発をやらないといけない?
 「沖縄の負担の割合が大きくなるんですよね。地元の人がそんなことをやっても、今の借料をもらっていたほうが安定的だと」(守屋武昌元防衛事務次官)

 アメリカ軍に土地を貸している地主は国から借地料をもらっています。守屋氏はこれが基地返還へのハードルになっていると言うのです。普天間基地周辺に住む地主に話を聞いてみると・・・

Q.基地があれば地代も入ってくるし、固定化(現状のまま)でもかまわない?
 「それは確かに言えないことはないが、子、孫がどう考えているかですね。私なんかのあれでは土地代をいただいたほうがいいかなと思う」(普天間基地の地主&5\>k??0l$5$s!K

 そこにあるのは「基地が返還され、土地収入がなくなったら、果たして生活ができるのか」という不安です。

 「すぐ返還で、すぐに街が立てばいいが、そういうことはなかなか難しいでしょう」(普天間基地の地主・宮城真一さん)
 「街づくりの間も生活保障は必要。強制的に接収された土地ですので」(普天間基地の地主・佐喜真盛栄さん)

 ただ、こうした地主に対する借地料は年々値上がりしています。小泉元総理の秘書官だった飯島勲氏は、こう解説します。

 「(普天間基地の借地料は)年間66億円。しかも年2%くらいアップしている。国債を買うより基地借地料のほうが安定的に伸びているんですね。(地主にとって)それ以上、経済効果がある、収入になる跡地利用は考えられない。『返せ返せ』と言いながら(返還が)うまくいったら反対になっちゃうんですね、地主さんも」(飯島勲元首相秘書官〔今年8月〕)

 一方で、アメリカ軍から返還された土地が開発され、経済効果を生んだ例もあります。大型ショッピングセンターなどが建ち並ぶ那覇新都心地区。この地区は基地の返還合意から20年以上かかって再開発されました。沖縄県の試算では、この地区の経済効果は返還前のおよそ16倍になったといいます。新都心の開発を行った当時の担当者は、地主の協力が大事だと話します。

 「すべての地主さん2600人とかから(土地を)買うのがある意味大変。地主会という組織があるので、地主会を通して地主自身を説得していただいて(買収した)」(那覇新都心・新田進社長)

 仲井真知事に跡地問題について聞くと・・・

 「(地主は)変わるにあたって、今までの条件よりは良くならなければ普通は嫌がりますよね。もう少し(補償問題を)深堀りしないと、なかなか前に進まない可能性がある」(沖縄県・仲井真弘多知事)

 沖縄県は、土地返還後の一定期間、地主への補償を国が行うよう要求しています。17日に沖縄を訪れる菅総理。この跡地利用問題についても視察などを行う予定です。(16日23:13)

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